シリア難民支援速報

冬の到来

2017.12.07

ヨルダンには、日本と同じような季節の移り変わりがあります。砂漠地帯にあることから朝晩は日中と比較してかなり気温が下がりますが、日本のほうがやや寒いかなぁ、という感じです。

もっとも大きな違いとしては、雨季の時期でしょうか。日本では、春と夏の間に梅雨がありますが、ヨルダンでは晩秋から冬にかけての数ヶ月に1年分の雨が降ります。

今年は、昨年と比べて気温が下がり始めるのが遅く、生活をする上では楽でしたが雨の遅れが心配されました。11月中旬には、イスラム教に関する全てのことを管轄する省(the Ministry of Awqaf and Islamic Affairs)の通知により全国のモスクの金曜礼拝で雨を請う祈りが行われたおかげか、11月後半からは雨が時々降り始めました。この特別な祈りは、預言者モハメットの時代から続く儀式です。

ザータリキャンプでは10月から、冬の悪天候による影響を軽減するための準備が始まりました。キャンプがある地域は、土壌が粘土質であるために雨が降ると雨水が地面に浸み込まず地上に水が溜まるため、低いところに位置する家庭では、最悪の場合床上浸水し、避難せざるを得ないこともありました。また、降雪や暴風も想定されます。

【キャンプ内の様子(2016-2017年 冬)】
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そのため、これまでの経験から少しでも被害を少なくするために、セクターごとに事前の予防・緊急時の対応計画などが話し合われています。その一環として、ガスを購入するためのバウチャーや子どもの冬服を購入するための現金の配布、毛布や食料品の配布が行われています。

JENは水衛生関連団体の一員として、水の供給、下水の汲み取りなどの通常の水衛生関連サービスが問題なく行われるように、去年の被害状況を考慮して一時的な給水タンクの設置・公共タンクの位置の移動を計画しています。また、雨が降った際に浸水する場所に水が溜まらないように設置した側溝の詰まりを解消する、または新しい側溝を設置するなどの工事も行われています。一方で、住民に対しても各々ができる準備をするように促したり、悪天候の際の注意事項などを伝えたりしています。

去年に比べて特に対策が必要なのは、現在キャンプ内で建設している上下水道ネットワークの工事現場の安全性の確保です。下水道のネットワーク工事では、深いところでは5-6メートルも地面を掘るため、通常時でも安全対策には細心の注意を払っています。これからの季節、地上を流れる雨水が工事現場に流れ込み、地面と水面の区別がつかなくなることで、車両や通行人が穴に落ちることなども想定され、建設業者とともに対応・事前準備の必要があります。また、掘削時の土が給水トラックや汲み取りトラック移動の妨げとならないようにする必要もあります。

これからの数ヶ月間、悪天候は避けることはできませんが、できるだけ被害が少なくなるよう、関係者と密に連携しこれまでの経験から得た教訓に基づいた準備・対策をとっていきます。

 
【道路が地面より高いため、道路脇にとどまってしまった水を流すために、アスファルトを一部分取り除く様子(ザータリキャンプ9区)】
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日本からの訪問者(事業モニタリング)

2017.11.16

JENの支援活動は、支援者の皆さまからのご寄付に加え、国連ユニセフやジャパン・プラットフォーム(以下、JPF)とパートナーシップを組み実施しています。

10月23日、24日、25日に、JPF東京本部から2名の職員がヨルダンを訪れ、このうち2日間はJENが2016年から2017年4月までの約1年で実施した支援活動のモニタリング(視察)を行いました。この1年では、シリア難民生徒を受け入れて老朽化が加速したホストコミュニティの公立校のトイレ・洗い場など水衛生施設の整備、また生徒への衛生促進活動を実施することができました。

今回の視察団には、活動を終えた複数の学校で支援後の水衛生施設を視察していただきました。施設を清潔に保つ努力をしている学校だけでなく、衛生的に保たれていない学校も対象にしました。ヨルダンの男子校では一般的に、自助努力による学校施設の維持管理が喫緊の課題となっています。訪問先では、それが私たちの目にはどんなに非衛生的に映っていたとしても、現地の人びとは「JENの支援によって衛生状況や生徒の態度がはるかに改善・向上した」と嬉しそうに話してくれました。

【衛生的に保たれていない学校の例】
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ヨルダンの公立校には、水衛生施設の維持管理基準があります。こういった学校は、基準では平均を下回ります。それでも学校側は、改善・向上の兆しが見られていると前向きに受け止め、一歩一歩あきらめずに努力を続けています。今回は、JPFにこのような現状を知っていただくことが出来ました。

【モニタリングの様子】
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施設を維持管理する際の良し悪しは、学校長や教員のモチベーションにかかっていると言っても過言ではありません。たとえ今は維持管理の基準値を満たしていなくても、努力を継続していくことが大事なのです。そのため、JENは、支援事業が終了した後も学校を度々訪問してモニタリングを実施します。こうして、教員と話し合う機会を大切にしています。

 

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設営から5年、困難を乗り越え続けるザータリキャンプ

2017.10.19

私の名前はアリ・アルジャドアです。私は現在、JENのアドミンマネージャーをしています。
2013年2月にコミュニティ動員マネージャーとしてJENで働き始めました。その頃、JENはザータリキャンプで衛生促進活動と衣類配布を行っていました。

【コミュニティでの衛生セッション】
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【2013年に行われた衣類の配布】20171019_JD_02_cloth

ザータリキャンプは、シリア危機が始まった後2012年の7月に開設されました。ヨルダン国内、シリアとの国境から13kmのところにあります。ザータリ村に開設されたため、ザータリキャンプと名づけられました。キャンプの広さは6 km2に及びます。
キャンプ開設当初は、シリアの人びとは、安全な地を求め、荷物を何も持たずに自分たちの地を離れることを余儀なくされていました。彼らはヨルダンとの国境へと辿り着つくと、ヨルダン軍のサポートを受けてザータリキャンプにやって来ました。

【2013年のザータリキャンプ】
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【ザータリキャンプでの給水タンク設置】
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日々、想定以上の大量の難民が次々とやってきて、NGOの支援が間に合わず、難民は不満を募らせていました。一方でNGO職員もまた、難民の受け入れから彼らが尊厳を持って生活できるようになるまで、多くの課題に直面してきました。

キャンプへの入居に際しては、到着後に各世帯単位で(1世帯平均5人)、キャンプの入り口に設けられたUNHCRの登録所にて登録を行います。その後、テントとマットレスを受け取り、コミュニティ動員スタッフによって、割り当てられた場所へと案内されます。毎日水と食料が配布されなければいけませんし、食料以外の生活必需品も必要です。また、医療サービス、高齢者・障がい者・新生児に対する公共サービスも確保されなければいけません。

キャンプへやってくる難民の数は、平均すると毎日100~200人でしたが、日によってはその数が3000人に昇ることもありました。その状況では、NGOが理想とする支援を実施することの難しさが容易に想像できると思います。

私は、シリア難民がザータリキャンプにやってきて定住するまでに、私たちのような人道支援団体が直面した困難や、何もなかったこの地が街のように変化を遂げたこの5年の間に起こった、キャンプ内の様々な進歩を多くの人に知ってほしいと思っています。

私は、難民が尊厳をもって生きられるよう尽力し、直面する課題に対応してきた全ての人道支援スタッフに感謝したいと思います。

【上下水道の整備】
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子どものための安全教室

2017.06.22

5月27日より開始したイスラム歴の「ラマダン(断食)」月も、最後の週に突入しました。JENのキャンプスタッフは、勤務時間を短くしながらも、日中は水と食べ物を一切とらずに活動を続けています。

ラマダン中も、以前にご紹介したザータリ難民キャンプの上下水道網の建設は続きます。
通常より活気のない建設工事現場でも、住民、建設業者、各支援団体スタッフが安全を配慮しながら建設に携わっていかなくてはいけません。

現在まで、大きな事故は発生していませんが、建設現場にある重機や掘られた穴、設置された水道管などに興味を持つ子どもの安全対策は徹底しなくてはいけません。

そこで、JENを含む、水と衛生分野で支援活動を実施している団体は、キャンプに住む子ども向けに、建設現場に関する安全教室を実施しています。教室は、キャンプ内にある学校やマカニセンター(私の場所)と呼ばれる、特に脆弱性の高い未成年に教育を中心に心理的ケアを提供する場所で行いました。

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【注意喚起を促す看板】

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【子どもの建設現場の興味は尽きない】

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【建築現場には子どもにとって魅力的な重機も】

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【注意喚起の安全ポスター】

安全ポスターを使って子ども達に「してはいけないこと」を伝えました。例えば、建設現場の安全テープが張られている敷地内に入らないこと。そして、重機に近づかないこと。

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【みんな、真剣に聞いています】

上下水道網建設において、JENは建設業者のサポートを行いますが、それ以上に大切なのは、コミュニティのサポートをすることです。子ども、大人、高齢者、障がい者の方々、そして全住民が安全に過ごす中で、生活レベルをあげるための水インフラの建設を進めることができるよう尽力していきます。

 

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ザータリ難民キャンプでのトイレの設置と改修

2017.05.25

私はザータリ難民キャンプでトイレの設置・改修事業のアセスメントを担当しているモハマッド・アブ・シアムです。きょうはこの事業についてお話したいと思います。

ザータリキャンプは2012年に開設され、ここに避難してきた人びとは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)から提供されたテントに住んでいました。トイレやシャワーを含む公共の水衛生設備や台所もUNHCRによって作られ、キャンプ内の地区中で、共同で使われました。しかし、時間の経過により、共同トイレの不便さや、夜間の安全上の問題もあり、キャンプの住人は自分たちの住まいの中にトイレを設置し始めました。

自分でトイレを作る人もいれば、そういった技術を持っている人に頼んで作ってもらう人もいました。その結果、共同トイレを使う人が徐々に減り、それにつれて共同トイレはすたれていき、使用されなくなった施設は解体されました。

その一方で、トイレ設置の技術やお金がないために、自分の住まいにトイレを設置できない家族もいました。また、何とかトイレを設置できたとしても、床に穴を開けただけのもの、周りに壁がないもの、換気設備がないものなど様々で、どれもキャンプの水衛生支援関連団体により定められた最低基準を満たしていないものでした。

JENはこのような問題を解決するためにトイレの設置・改修事業を始めました。
トイレ事業は、家庭のトイレ事情を改善することにより、難民たちが尊厳を持って生活できるよう、2016年4月にスタートしました。第一段階では自分たちのトイレのない世帯のためにトイレを設置し、第二段階では、キャンプ内の最低基準を満たしていない既存の世帯のトイレを改修しました。

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【事前調査の中で訪ねた家の、壁もドアも屋根もないトイレ】

事前調査チームは、メンテナンスチームのスタッフ3人と地域動員チームのスタッフ3人から構成されていて、事業実施前に研修を受けました。事前調査は二人一組で、設定された基準に基づいて行いました。まず地域動員チームのスタッフにより改善が必要なトイレかどうかを事前評価し、次いで住民から必要とされていることや計測等技術的な事前調査を行いました。

事業を進める中で多くの困難に直面しましたが、中でも、私たちの事前調査を地域が受け入れてくれるかが大きな挑戦の一つでした。なぜなら住人である難民の人びとは、トイレの改修工事のタイミングでキャンプ内では入手の難しい、住宅建材などを手に入れて少しでも自分たちの生活環境を良くしたい、とういう思いがあるからです。

私たちが評価対象にした約1850世帯の内、50世帯がJENのアセスメントを断り、また部分的な改修も断りました。私は責任者としてその家族を訪ね、JENの基準や彼らの家のトイレの状態について説明しました。

ある家族は考えを変え、私たちの提案を受け入れましが、ある家族は屋根やドアなど新しくしてもらいたい部分をわざと壊し、JENのスタッフを説得して欲しい建材を手に入れようとしました。

以下は、難しかった事例です。
私たちの事前調査によると、その世帯はトイレ設置にドア1枚と壁1枚が必要でした。彼らは最初この設置提案を受け入れていたものの、工事当日に考えを変え、トイレの設置を今ある場所でなく、家の外に新設することを求めてきました。私はその家族を再度訪ね、JENの基準と彼らの家のトイレの状態を説明しました。しかし、彼らはJENの決定を受け入れず、トイレの改修を断りました。結果的に私の上司の説得も、メンテナンスチームの説得も成功しませんでした。

もう一つの大変だったのは時間が限られていることでした。この事業では、JENが担当するザータリキャンプ3地区全てを13カ月で網羅しなければなりませんでした。一軒一軒の家庭の状況は様々で、メンテナンスチームはそれに合わせて異なるやり方で仕事をしなければなりませんでした。事業の期限を守りながらも仕事の質を保つため、メンテナンスチームのスタッフ数を増やし、さらにトイレ設置後の事後調査も実施しました。

事業期間を通して、2300世帯で事前評価を行い、1850以上の世帯で技術の事前調査を実施しました。そして、新しいトイレを168基設置し、1783基のトイレを改修しました。この結果はチームワークによる大きな成果と言えます。

私はJENで働き始めて2年になります。JENのスタッフとしてシリア難民を支援できることを誇りに思います。トイレ事業のあと、現在は上下水道網の建設サポートに携わっています。JENでの仕事を続け、人道支援の分野でさらに経験を積みたいと思っています。

JENヨルダン
コミュニティ モビリゼーション ネットワーク・オフィサー
モハマッド・アブ・シアム

 

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