シリア難民支援速報

今年も実施。シリア難民への冬物衣類の配布

2013.08.22

ザータリ難民キャンプは砂漠地帯にあるため、年間の気候や環境が著しく変化します。例えば、夏場は太陽の日差しも強く乾燥もひどく、日中の最高気温は40度近くまで上昇します。風が吹けば、熱風が砂埃をあげ、キャンプ内の空気は白く濁り、周りがみえなくなることもよくあります。一方で、冬になると大雨の日が続き、気温も劇的に下がります。
(40フィートコンテナから衣料を積み出し中)
130822 ① IMG_2458

 

冬の寒さは、難民の方々に降りかかる数多くの苦難の一つとなっています。どうにかその苦しみを和らげたい、との思いから、JENは今年1月に続き、2回目の衣料配布支援を決定しました。前回の活動について、くわしくは、こちら

今年の冬は、前回同様に、ユニクロからお預かりした約55万着の冬物衣料を、UNHCRと共に調整しながら配布します。つい先日、無事にヨルダンのアカバ港に、女性用、男性用、子ども用衣料が中に入った7つのコンテナが日本から到着しました。

膨大な量の衣料品を保管するために、JENは首都アンマン近郊に広さ800平方メートルの倉庫を準備しました。倉庫では、安全対策のために警備員2名が24時間体制で勤務しています。最初の荷物として8月20日、必要量の3分の1が倉庫に到着し、JENスタッフ総勢10名がかりで荷下ろしを行いました。
今後数か月にわたり、JENスタッフ総出で55万着という衣料品を年齢別や性別ごとに数百パターンに分類し、各家族のニーズに合うように袋に詰めます。一日も早く難民の方々に届けるために、昼と夜の2シフトを組んでアッセンブリーを行う日々がスタートします。

寒い冬が訪れる前に難民の方々に温かい服を届けられるよう、スタッフ一同、頑張ります!

 

(倉庫に移送した衣料を管理するJENスタッフ)
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JEN プログラム・オフィサー
トゥリサ・ルシアンダリ

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ザータリ難民キャンプの設立から1年

2013.08.01

ザータリ難民キャンプが開設されてから7月29日で1年を迎えました。1年前に僅か数棟のテントからスタートしたこのキャンプが、今では人口10万人を超え、ヨルダンで5番目に大きな街へと変貌を遂げています。
この1年で、テントが仮設住宅へと変わり、巨大なショッピングストリートが誕生し、生活必需品だけでなくテレビや洗濯機などの電化製品も扱われるようになりました。小学校や病院などの公共施設やインフラも次々と整備されています。

JENはキャンプ開設直後の昨年9月よりキャンプ内での活動を開始し、UNICEFと協働してキャンプ内に水衛生委員会を立ち上げ、その活動支援を中心として特に水衛生分野での住民の組織化に携わってきました。

委員会の設立から約8か月が経過し、委員会のメンバー主導による衛生知識普及キャンペーンの実施や日々のトイレの管理状況の確認、そしてトイレの掃除当番の割り振りなど、委員会を中心として住民自身が清潔な生活環境を作るための自発的な活動が行われています。

7月26日には岸田外務大臣がザータリキャンプを視察されました。JENの主な活動分野であるキャンプ内の水衛生設備を見学され、水衛生分野での支援の必要性についてJENスタッフが説明しました。岸田外相は視察を終えられ、今後もヨルダン政府、国連機関そしてJENをはじめとしたNGOとともに、水衛生分野を中心にキャンプ内の諸課題に取り組みたいと述べられました。

【JENが建設した洗濯設備を視察する岸田外務大臣(左)とJEN佐々木(右)/2013年7月26日】

現在ザータリ難民キャンプでは、約30の支援団体が活動を行っています。規模拡大に伴い、今後はキャンプに12個の行政区画が導入され、主要NGOが各区画における支援の統括団体となることが決定しました。JENはこれまでのキャンプ内の活動が評価され、UNHCRより人口2万6千人が暮らすエリアの統括団体に任命されています。

ザータリキャンプ設立から2年目を迎えるこれからも、ヨルダン政府及びUNHCR等の国連機関、そしてこの地区で活動する他のNGOと協力しながら、キャンプ住民が安心して快適な避難生活をおくることができるよう、JENは活動を続けていきます。

【キャンプで暮らす子どもたち】


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《以下のイベントは終了しました。ご参加ありがとうございました!》

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【JENシリア難民支援・緊急報告会】
「難民ってなに?(その2)」-続・難民キャンプのくらしと支援-
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■日時: 8月7日(水) 19:00~20:30 (受付:18:30~)
■会場: JICA地球ひろば (市ヶ谷) 新宿区市谷本村町10-5
■アクセス:JR「市ヶ谷」徒歩10分、都営新宿線A1番/4番出口徒歩10分 、東京メトロ有楽町線・南北線6番出口徒歩8分
http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html
■定員: 40名
■参加費:500円(当日回収いたします)
■お申込方法:TelまたはE-mailで氏名とご連絡先(Tel、E-mail)をお知らせください。
(JEN東京本部Tel: 03-5225-9352)

■詳細はこちら  https://www.jen-npo.org/event08072013
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ラマダン、それでも活動は続く

2013.07.25

7月10日からヨルダンではラマダンが始まりました。今年のラマダンは近年で最も厳しいラマダンと言われています。断食をしている人たちは、日が昇る朝4時から日が沈む夜8時頃まで、食べ物はおろか水も口にしません。

先日、日が沈むころタクシーに乗っていたところ、信号待ちをしている交差点でこのようなものを無料で配っていました。

【ミネラルウォーターとデーツのセット】

ラマダン期間中に善行をすると通常以上に徳を得られると言われているため、一般の人が個人的にこういったことを行っているようです。ある現地スタッフは、ラマダン期間中は毎週料理を作って、貧しい人に振舞っていると言っていました。イスラム教徒の人々にとって、困っている人に施しをするのは特別なことではなく、文化や生活に深く根付いていることのようです。

さて、ラマダン期間中は、通常業務時間が短縮されるので、ありとあらゆる物事がなかなか進まなくなります。とはいえ、事業を停止するわけにはいかないので、JENアンマ ン事務所も若干業務時間を短縮して活動を行っています。

ホスト・コミュニティの学校補修事業では、現在JENのエンジニアが水衛生設備の補修を行う予定の学校を訪問し、補修内容の詳細見積書を作成しています。

いつもなら、学校の校長先生はとても協力的で、訪問したい旨を連絡すると、いつでも歓迎して待っていてくれます。しかし、ラマダン中は朝早いとまだ寝ているので、昼頃に来てくださいと言われることがしばしばです。

昼になればなるほど気温があがり屋外での調査はきつくなりますが、そうはいっていられません。日中30度近くの屋外で、水も飲まずに学校を回るのは本当に重労働ですが、こういったエンジニアの頑張りでJENの活動はラマダン期間中も続けられています。

【炎天下で壊れた水飲み場を確認するJENエンジニア】

この事業は、ジャパン・プラットフォームと皆様のご支援で進められています。

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水衛生委員会メンバー主体のキャンペーンをデザイン中!

2013.07.11

ザータリキャンプにも本格的な夏が訪れ、日中は35度を超え強い日差しが差し込んでくる日々が続いています。気温の上昇とともにキャンプ内では水不足が深刻化し、A型肝炎の症例が出るなど、感染症が流行するリスクが高まっています。

【浄化槽からあふれる汚水】

そこでJENでは、先日のUNHCR/UNICEF主導の衛生知識の普及キャンペーンに続き、現地の水衛生委員会が主体となっての衛生知識の普及キャンペーンを準備しています。

今回のキャンペーンは我々国際団体が主体となり実施するのではなく、水衛生委員会のメンバーとともにキャンペーンをデザインし、彼らが主体となり他の住民への啓蒙活動を実施するためのサポートを行っています。

現在、ザータリキャンプでは、水衛生委員会のメンバーに向けての正しい衛生知識を普及するための取り組みが行われており、多くのメンバーが積極的に参加しています。

【水衛生委員会から、住民にトイレを清潔に保つためのメッセージ】

また、我々のフィールドスタッフが水衛生委員会のメンバーとともに毎日キャンプ内の全てのトイレ(約500施設)を訪問し、設備に問題がないか確認をしています。

【JENスタッフによるトイレの訪問調査】

 

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保健・衛生キャンペーン in ザータリキャンプ

2013.07.01

6月初旬、UNICEF及びUNHCRによる支援の下、水衛生と保健セクターという通常は異なる分野で活動する団体が共に参加する大規模な保健・衛生キャンペーンが、ザータリキャンプで行われました。気温の上昇に伴いキャンプ内における下痢(出血性下痢を含む)の発生率が増加していることを受け、キャンプ住民の保健・衛生意識の向上を目的としたものです。
キャンペーンの間、JENが設立からサポートを行っている水衛生委員会のメンバーが、他の機関及びシリア難民住民から選ばれた看護師からなる衛生促進チームと共に働き、テントやキャラバンを個別訪問して、下痢症例の予防・発見・治療活動を行いました。
下痢と診断された場合は、経口補水液(食塩とブドウ糖を混合し、水に溶かしたもの)で治療が行われましたが、出血性下痢を含む重い症例においては、キャンプ内の病院への紹介が行われました。

砂漠地帯に位置するザータリキャンプは、夏の間、照りつける太陽と砂埃で視界は白く染まります。そんな酷暑の中にもかかわらず、水衛生委員会のメンバーは一週間の間、毎日テントとキャラバンの個別訪問を繰り返し、衛生教育を行いました。

キャンプ・コミュニティのリーダーのひとりであり水衛生委員会のメンバーでもある男性は、今回のキャンペーンへの参加は彼の5歳の息子が下痢で苦しんだ経験にある、といいます。「私の息子は回復までの間、数日間の入院を要しました。その時はじめて下痢が死にもつながるものであることを理解しました。このキャンペーンにより、出来るだけ多くの保護者がそのことを理解してくれることを望んでいます」

UNHCRによると、この一週間のキャンペーンの間に、5歳未満の子どもたちの間で4000件以上の下痢の発生が確認されました。今回のように、国連機関、異なる分野で活動するNGO及びキャンプ・コミュニティが協力してキャンペーンを実施することで、キャンプ全体の各世帯に保健・衛生に関する知識が浸透し、住民ひとりひとりの意識の向上に繋がることが期待されています。

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