JENスタッフの勝手にシネマ!Vol.1「わたしは、ダニエル・ブレイク」

未分類|2018.02.06

みなさま、はじめまして。JENに入職して、これまでに東北、パキスタン、イラク、ヨルダンの駐在を経験し、現在は、東京本部にて勤務しているふーたんです。映画好きが高じて、この度こんなコーナーを頼まれることになりました。独自の目線でおすすめ映画をお伝えしていきます。

第一回目の今回、自信をもってご紹介するのは、「わたしは、ダニエル・ブレイク」です。社会保障、というか失業保険と生活保護の受給をテーマにし、第69回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール(最高賞)を受賞したイギリスの作品です。

(以下ネタバレあり)

病気によりドクターストップがかかって働けなくなった主人公(50歳位?)は、休業支援金を申請するが、およそ無理と思えるハードルの高さと矛盾した社会保障の仕組みに阻まれ続ける。時を同じく、生活保護を申請しているシングルマザーも受給に関してあれこれ難癖をつけられる。(これより先は、是非本編をご覧ください)

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映画を観ていると、社会への怒りがふつふつと、そしてどんどん湧き上がってくる映画だが、日本も決して他人事とは言えない。

私自身は、おかげさまで超絶健康優良児であり、JEN職員として勤続7年目です。加えて年齢的に、日本の財政赤字を背負わされる世代と言われています。制度は必要と思いながらも、国の一般歳出を見ると社会保障費の支出に多少ガッカリするのは否めません。一瞬でもブルーになったり、不安になったり、ガッカリしたことのある人、そんな人こそ観るべき映画です。

登場人物は、一般市民です。決してネグリストや怠け者だったり、いわゆる反社会的な行動をおこしたり、はたまた補助金を悪用するつもりなのではありません。いたって「ふつう」の人達が尊厳ある生活をおくりたいだけ。なのに、かくも卑屈にならなくてはいけない社会はどうかしてる。たしかに人生は山あり谷ありだが、谷時代には何か外部サポート(セーフティネットなど)があってしかるべき、という考え方について、誰にも起こりうる普遍的なこととして、求めてはいけないですか。

映画自体は役者さんが優秀で、エピソードもいちいち刺さる。観ていて胸くそ悪くさせられる元凶の役人たちも、真っ当に仕事をしているだけだから、さらに質が悪い。
強いて言えば、エンディングをもう少し優しくしても良かったと思うのと、(登場人物の)シングルマザーさんの表情を、もう少しメイクを工夫するなどして、エピソードに合わせてほしかったが、そんな些細なことが気にならないくらい強烈な映画です。

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~広報スタッフからのアトコメ~
東京本部のムードメーカー(?)、ふーたん。いったいどんな原稿があがってくるのかと思ったら、社会システムの不条理を描いた作品が選ばれていて、心がグッと押さえつけられるような気持になりました。イギリスが誇る社会派の名匠ケン・ローチ監督の作品を選びましたね。監督の他の作品も社会課題を取り上げるものが多いです。ぜひご覧ください。

ケン・ローチ監督のコメント
「生きるためにもがき苦しむ人びとの普遍的な話を作りたいと思いました。死に物狂いで助けを求めている人々に国家がどれほどの関心を持って援助をしているか、いかに官僚的な手続きを利用しているか。そこには、明らかな残忍性が見て取れます。これに対する怒りが、本作を作るモチベーションとなりました」。(公式サイトから抜粋)

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