東北支援速報

「災害時の要配慮者支援を考える学習会」in 福島県いわき市

2017.12.28

2017年12月20日、福島県のいわき市にて、「災害時の要配慮者支援を考える学習会~高齢者・障がい者・子どもなどの観点から~」が、はぐくみ防災サポーターズいわきと、JENのパートナー団体である減災と男女参画研修推進センター(GDRR)の共催により開催されました。

目的は、「災害時の要配慮者支援のあり方について当事者や支援関係者がともに学び、今後のいわきでの対策を考える機会を作ること」。

市議会議員や市の職員、防災に関心・関連のある他種多様な方々が参加されました。参加者は総勢90人を超え、関心の高さが窺えました。

第一部では、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の北村弥生先生による講演が行われました。支援する側の体制作りに加え、要配慮者やその家族も、平常時から災害時の生活や対応について準備し、情報を発信することが重要であると述べられました。また、要配慮者と支援者が一緒に災害時の対応を考える「避難所運営ゲーム」の事例を紹介されました。

【みなさん講演に真剣に耳を傾けていました】
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第二部は、ワークショップ。各グループで要配慮者自身またはその家族として、災害時にどのように動くか、その際の課題や解決方法について活発に意見が出されました。

【会場には手話通訳の方もいらっしゃり、聴覚障がいのある方も積極的に意見を出していました】
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参加者からは、「システムは作るだけではいざという時にうまく機能しない。日頃の訓練と、顔の見える関係づくりが大事だ」という言葉が多く聞かれ、災害時にも要配慮者が安心して避難できる環境作りへの意欲が感じられる会となりました。

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東北パートナーミーティング2017開催

2017.10.26

普段は別々の地域で活動するJENの東北事業のパートナー7団体が一堂に介する年に一度のイベント「東北パートナーミーティング」を、今年も2017年10月3~4日に宮城県にある新幹線の駅・くりこま高原近くの宿泊・会議施設「エポカ」で開催しました。

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JENのパートナー団体は、活動テーマはちがっていても、ひとつ大きく共通するビジョンがあります。それは「誰も取り残さない復興」。
1日目はパートナー団体がリレートークを行い、情報共有。

専門家の集団でありながら、地域に密着して、対象となる方の関係性をひろげる活動を行う
・男の介護教室: ケアマネージャー、歯科関係者、医師、栄養士などが行う男性介護者の支援(宮城県石巻市)
・福島県助産師会: 助産師が行う母子の支援と、医師や栄養士、保育関係者などの多職種連携の推進により、母乳育児や離乳食期をサポートする活動(福島県全域)
・減災と男女共同参画研修推進センター:母子や障がいとともに生きる人が取り残されない防災を推進する(福島県いわき市)

ひとり親家庭を中心とした親子の居場所・地域力の結集の場としての「こども食堂」を実施する
・宮古市社会福祉協議会 (岩手県宮古市)
・インクルいわて(岩手県盛岡市)

地域の未来のカギを握る方々の地域づくりへの参画を推進する
・SAVE TAKATA: 中高生によりまちづくりとおとなとのチームワーク推進 (岩手県陸前高田市)
・ウィメンズアイ: 若手女性が地域で活躍するためのエンパワメントのサポート(岩手県、宮城県、福島県)

夜の懇親会では、相互訪問の約束やコラボプロジェクトなど、様々な化学反応が起こっていました。

1日目の午後から2日目の夕方までは、「社会を変える組織」をつくるをミッションに掲げる、非営利組織マーケティングの専門のシンクタンク、(株)PubliCoの代表取締役 長浜 洋二氏による、マーケティング研修を実施。

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JENとのパートナーシップも折り返し地点に入り、あと1年半ほどで各団体の自走による事業の発展・継続が求められる中(*)、マーケティングの視点から、どのように事業の質を高めながら支援者や参加者を得ていくのかについて、講義と演習を交えて学ぶことができ、次の一歩への大きな力になりました。

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*インクルいわては既にJENの資金面での支援は終了していますが、事業内容面での交流やサポートを続けています。

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ひとりひとりが大切にされる防災が、災害に強い地域をつくる

2016.06.30

日本の防災は
1)自助 = 自分で自分と家族を助けること
2)共助 = 企業や地域コミュニティで共に助けあうこと
3)公助 = 行政による救助・支援、のことです。

という考え方で政策やしくみが成り立っています。

多くの人が「自助」のために、家に防災グッズをそろえたり、家族で災害時の連絡方法を確認したりしているでしょう。
「公助」に関しては、被災地で活躍する消防職員や自衛隊、自治体職員の姿をテレビ等で目にすることが多いでしょう。

でも「共助」って・・?

実は東日本大震災では、この「共助」が多くの人を救いました。
近所で声を掛け合っての高台への避難、震災後1週間後で2,182か所あった避難所の多を運営した、地域防災組織に属する地元の方々。

平成26年の内閣府の防災白書では「公助の限界」が掲げられ次のように述べられています。

「東日本大震災等では、行政が全ての被災者を迅速に支援することが難しいこと、行政自身が被災して機能が麻痺するような場合があることが明確になったことから、首都直下地震、南海トラフ地震等の大規模広域災害時の被害を少なくするためには、地域コミュニティにおける自助・共助による『ソフトパワー』を効果的に活用することが不可欠である」。

高齢者や障がいとともに生きる方、子ども、性的少数者、外国籍の方・・・地域には多様な方々が暮らしています。

災害時に等しく命が守られ、支援を受けて生活を再建していくためには、多様性に配慮した防災がカギとなります。

全国的にも、地域の力が強いといわれた東北の被災地においても、共助における「多様性配慮」は、避難所を運営した方々も、避難した方々も大いに苦労し、課題を感じました。

小さな子どもを持つ家族が「子どもが騒いで迷惑がかかるから」と避難所に入らずに半壊した家で過ごしたり、車椅子の方や内部障害の人が使える仮設の「誰でもトイレ」が圧倒的に不足していたり、間仕切りがない避難所で、女性が着替えに困ったり、家族以外の異性と布団を並べて寝ることに安心できなかったり等。

こうした教訓をもとに、全国の自治体では、防災計画や避難所運営マニュアルを大幅に見直したり、女性の防災リーダーを育てる動きが広がっています。

被災地でも、今こそ被災経験を生かし、「ひとりひとりが守られ、ひとりひとりが参加する」地域防災をつくりあげていきたいという方々が多くいらっしゃいます。

JENの東北事業では、「パートナーシップ型事業運営」として、復興から取り残されがちな方々に対する地域のNPOや団体の取り組みを資金面・技術面で支援していますが「減災と男女共同参画 研修推進センター(GDRR)」とパートナーシップを結んでいます。GDRRは、ジェンダー・多様性の配慮の視点を持った専門家による地域防災の研修を東日本大震災の被災地において実施すべく、研修要請をした地元の組織と調整をしています。

 被災地では「よりよい復興(Build back better – 2015年国連防災世界会議で多用された言葉-)」の歩みが続いています。

【岩手県陸前高田市・沿岸部 H31.3.31まで通行規制区域・土壌仮置き場)】
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【岩手県陸前高田市(奇跡の一本松)
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【岩手県陸前高田市(旧道の駅「高田松原」・青いラインが津波到達地点14.5m)】
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