シリア難民支援速報

3月22日は何の日?

2014.04.03

みなさんは3月22日が何の日かご存じでしょうか。
…正解は、国連総会で定められた「世界水の日」という水の大切さを考える日です。ここヨルダンでも水問題は他人事ではありません。なぜならヨルダンは、世界で4番目に水不足に悩む国なのです。特に今年は雨季の降水量が少なく、乾季の夏に向けて水不足が懸念されています。

ヨルダンの家や学校には給水タンクが設置されており、週に数回水が供給されて、タンクに貯められ、そこから水を使う仕組みになっています。もし水を出しっぱなしにしていたら、あっという間に給水タンクの水が空になってしまいます。ヨルダンでは、水はもっとも大切に扱わなくてはいけない資源の一つなのです。

JENは、学校の水タンクやトイレ・水飲み場など、水衛生に関する設備の修復を行うとともに、シリア難民児童とヨルダン人児童の両生徒に向けて衛生教育も行っています。その衛生教育の一環として、病気の予防法とともに、節水の重要性についても教えています。
そこで、去る3月20日、JENが補修工事と衛生教育を行った学校で、「世界水の日」のイベントを開催しました。

【「水は生命の源」と書かれた横断幕】
140403 ①横断幕

生徒たちの披露してくれた劇や歌を通して、先生や子どもたち、イベントに参加したみんなが、水と衛生の重要性について考えるよい機会になったと思います。

【歌と踊りで水の重要性を伝えてくれた低学年の子どもたち】
140403 ②歌と踊り

【「水のしずく」と「手」と「石鹸」に扮した生徒たちと記念写真をぱちり】
140403 ③扮装写真

JENのホストコミュニティ担当の衛生プロモーターたちは、ヨルダンの学校を縦横無尽に駆け回って先生たちに衛生教育の指導を行っています。現在までに142校の先生たちに衛生教育の指導を行い、124校の生徒に衛生キットを配ってきました。

しかし、節水に対する意識や衛生観念は一朝一夕で簡単に変えられることではありません。 JENは学校の先生たちに衛生教育の訓練を行うことで、訓練を受けた先生たちが毎日継続して子どもたちに手洗いなどの習慣を教えることを目指しています。私たちJENがいなくなっても、今の子どもたちが卒業した後も、この先生たちによって衛生教育がなされていくことを目標に、JENの衛生プロモーターたちは日々指導を行っています。

【JENの衛生プロモーターたち。普段はザータリ難民キャンプで働く衛生プロモーターも手伝いに駆けつけてくれました】
140403 ④プロモーターたち
世界水の日。日本にいるとなかなか馴染みのない日かもしれません。しかし、世界には深刻な水不足や不衛生な水で子どもたちが命を落としているという事実に目を向ける日として、日本でも浸透することを願っています。

【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】


JENの衛生教育に刺激を受けて

2013.11.28

現在、ヨルダンのシリア難民の約77%がキャンプの外、ホスト・コミュニティで暮らしており、教育や病院などヨルダン政府が提供する公共サービスの恩恵を受けています。

前学期までヨルダンの公立学校に通うシリア難民児童は約3万人程度でしたが、新学期が始まった9月には約7万人にまで増加しています。それでも、まだ5万人のシリア難民児童が学校に通っていないと言われており、シリアの子どもたちの学校へのアクセス向上、そして生徒数の増加により学習環境が悪化している学校に対する支援は、支援団体の大きな課題です。

そのような中、JENはホスト・コミュニティのヨルダン公立学校において水衛生関連施設の補修および衛生教育事業を行っています。衛生教育は補修工事の完了した学校で行います。まず教員向けの衛生教育トレーニングを実施した後、トレーニングを受けた教員が生徒に対して衛生授業を行う、という形で取り組んでいます。

先週、ザルカ県の対象校で生徒向けの衛生授業が行われました。授業の内容は、衛生教育トレーニングの際に様々な手法を教員に説明するとともに、教員とのディスカッションを通じて、各学校、各学年の状況に応じたものに発展させていきます。

このクラスでは、コレラに焦点をおいて授業が行われました。まず、生徒によるロールプレイから始まりました。不衛生な屋台でお菓子を買い食いした子どもが、腹痛を訴え病院に行くというストーリーです。屋台の売り子役の生徒は顔にひげを描いていたり、医者役の生徒はコレラ菌を顕微鏡で確かめたりと、とても本格的なロールプレイでした。

【役になりきって演じる女子生徒】
131128 ①演じる女子生徒IMG_7053
そのあと、グループに分かれて、各グループがコレラの原因、症状、予防策、治療方法などを模造紙にまとめ、みんなでディスカッションをしました。こういった衛生に関連する伝染病について、緊急時に備えて知識を持ち、注意しておくことはとても大切なことです。子どもたちが学校で学んだ衛生の知識は、家族、そしてコミュニティへと広がっていきます。 衛生授業の最後には、クラス全員で水飲み場に行き、正しい手洗いの方法を実践しました。

【正しい手洗い方法を実践する生徒たち(3番目の生徒はロールプレイで売り子役だった子で、まだ顔にひげのペイントをしたままです)】
131128 ②手洗い実践DSC_1029
この水飲み場は以前は使用できない状態でしたが、JENが補修をして今は使えるようになっています。水飲み場には節水を呼びかけるメッセージが書かれていました。このクラスの生徒たちが少しずつお金を出し合って、ペンキを買い、このメッセージを書いたそうです。 この学校では、JENの水衛生補修と衛生教育を受け、各クラスが学校の衛生環境を向上する試みを自分たちで考えて実行するというキャンペーンを行っており、他のクラスの生徒はごみ箱を購入して、学校に設置したそうです。

【生徒たちが書いた節水をよびかけるメッセージ】
131128 ③メッセージIMG_7121
学校の衛生環境の改善は、JENが学校補修を行い、衛生教育をするだけで終わるものではありません。JENの活動に刺激を受けて、校長や先生たち、そして子どもたちが、より良い学校になるようさらに自分たちでできることをする、そういった持続的な取り組みを促すことが重要であると考えています。

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ザータリキャンプでのハンドウォッシングデー活動

2013.10.17

10月10日(木)、JENはザータリ・キャンプでの国際ハンド・ウォッシング・デイ(Global Hand Washing Day) に他の国際NGOと共に参加しました。 JENの衛生促進スタッフは活動推進員(コミュニティ・モビライザー)の協力を受けながら、キャンプ内の第3、4および5地区において、このイベントを盛り上げました。

この活動は、日頃の適切な手洗い習慣が、深刻な病気を未然に防ぐ為にいかに重要であるかという点を広く伝えるために行われたものです。

【JENスタッフがキャンプ内を歩き、会場に子どもたちを連れていきました】
131017 ①子どもたち午前9時にJENのスタッフは各地区で子どもたちを集め、その子どもたちは横断幕やポスターを持って、キャンプ内で元気に歌いながらイベントへの参加を呼びかけました。

イベントは、手洗いの大切さと、ひとりひとりの衛生管理が命を救いキャンプの人々を病気やばい菌から守ることを伝える劇で幕を開けました。 子どもたちはそれぞれ与えられた役をしっかりと演じ、多くの観客は心を動かされ、手洗いの大切さを改めて学んだようでした。この後、正しい手の洗い方をJENのスタッフが実演しました。

 

【劇の一場面】
121017 ②劇 ゲーム、劇、手洗いの実演、凧作り、風船、人形劇等を通じ、年齢に応じてグループ分けされた子どもたちはそれぞれの出し物に参加し、楽しみました。

【手洗いの実演】
131017 ③手洗い実演 子どもたちはこの他にも衛生管理を呼びかけるポスターを一生懸命作ったり、とても素敵な一日を過ごしました。

【子どもたちの絵画活動】
131017 ④ また、子どもたちはJENのスタッフとともに、正しい衛生管理の仕方を学ぶゲームを楽しみました。JENは石けんなどの賞品を用意して、子供たちに積極的に関心を持ってもらうよう工夫しました。

【衛生管理を伝えるゲームで楽しむスタッフと子どもたち】
131017 ⑤ゲーム楽しい一日が終わりに近づいても、参加者は皆とても精力的で、JENのスタッフも子どもたちと輪になって座り、いつまでも手の洗い方を教えていました。

【「The power is in our hands」と声をそろえて云うJENスタッフ】
131017 ⑥JENスタッフ一日の終わり。会場を去る子どもたちは皆、嬉しそうに歌い、ポスターや横断幕を持って家に戻っていきました。可愛らしい笑顔で、「参加出来なかった友達にも手洗いの大切さを伝える」「自分たちもこれからも手洗いを続ける」と言いながら手を振って帰っていく姿が印象的でした。

いつまでも続けばいいと思うような素敵な一日でした。

【「石けんはともだち、わたしをばい菌から守ってくれる」というメッセージが書かれたポスターを手に家へ帰る子どもたち】
131017 ⑦ポスターを掲げる

ザータリキャンプ衛生促進マネージャー サバ・ヨーニス

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保健・衛生キャンペーン in ザータリキャンプ

2013.07.01

6月初旬、UNICEF及びUNHCRによる支援の下、水衛生と保健セクターという通常は異なる分野で活動する団体が共に参加する大規模な保健・衛生キャンペーンが、ザータリキャンプで行われました。気温の上昇に伴いキャンプ内における下痢(出血性下痢を含む)の発生率が増加していることを受け、キャンプ住民の保健・衛生意識の向上を目的としたものです。
キャンペーンの間、JENが設立からサポートを行っている水衛生委員会のメンバーが、他の機関及びシリア難民住民から選ばれた看護師からなる衛生促進チームと共に働き、テントやキャラバンを個別訪問して、下痢症例の予防・発見・治療活動を行いました。
下痢と診断された場合は、経口補水液(食塩とブドウ糖を混合し、水に溶かしたもの)で治療が行われましたが、出血性下痢を含む重い症例においては、キャンプ内の病院への紹介が行われました。

砂漠地帯に位置するザータリキャンプは、夏の間、照りつける太陽と砂埃で視界は白く染まります。そんな酷暑の中にもかかわらず、水衛生委員会のメンバーは一週間の間、毎日テントとキャラバンの個別訪問を繰り返し、衛生教育を行いました。

キャンプ・コミュニティのリーダーのひとりであり水衛生委員会のメンバーでもある男性は、今回のキャンペーンへの参加は彼の5歳の息子が下痢で苦しんだ経験にある、といいます。「私の息子は回復までの間、数日間の入院を要しました。その時はじめて下痢が死にもつながるものであることを理解しました。このキャンペーンにより、出来るだけ多くの保護者がそのことを理解してくれることを望んでいます」

UNHCRによると、この一週間のキャンペーンの間に、5歳未満の子どもたちの間で4000件以上の下痢の発生が確認されました。今回のように、国連機関、異なる分野で活動するNGO及びキャンプ・コミュニティが協力してキャンペーンを実施することで、キャンプ全体の各世帯に保健・衛生に関する知識が浸透し、住民ひとりひとりの意識の向上に繋がることが期待されています。

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水衛生委員会の活動が進んでいます

2013.05.16

今回は水衛生委員会の活動進捗についての報告です。JENは現在ユニセフの協力のもと、キャンプの10居住区画全てにシリア難民主体の水衛生委員会を立ち上げ、活動をサポートしています。

130516 ①
最初の水衛生委員会を立ち上げてから約3か月が経ち、議論も活発になってきました。現在、週1回行われている委員会のミーティングでは、公共の衛生設備(トイレ・シャワー等)の整備・管理の方法等を中心に議論が繰り返されています。

また、ミーティングの運営方法や議事録の記録方法等のトレーニングも実施しており、あわせて委員会メンバーの能力強化にも取り組んでいます。

130516 ②
現在、ミーティングの運営はJENのフィールドスタッフが中心となって行っていますが、近い将来委員会の代表が自ら運営を行うようになるはずです。

気温の上昇とともに(日中は30度を超える日々が続いています)衛生環境が悪化しており、どのように対処していくのかが現在キャンプの直面する緊急課題の一つになっています。JENでは水衛生部門の他の団体と水衛生委員会のメンバーも含めて、衛生知識の幅広い普及に向けて取り組んでいます。