シリア難民支援速報

学校施設の建設・修復工事の支援とその後

2017.07.20

この支援速報を執筆中、ヨルダンの公立学校は年に2回実施される「タウジヒ」という全国統一大学入試の試験期間でした。タウジヒは2週間程続き、期間中に試験会場の学校で建物の建設や修復工事をすることは出来ないため、直近で支援事業を行った学校からの工事に関する意見に目を通しています。

現場からの意見は、事業実施後にJENエンジニアチームとは別のチームが学校を聞き取り調査訪問する際に校長先生にアンケート用紙を渡して記入をお願いしています。これによって、学校とJENエンジニアや工事を施工する建設会社とのコミュニケーション、建設現場での事故発生の有無、工事の質や事業全体の懸念等について情報を得ることが出来ます。

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【JENエンジニアチーム:左からレイスさん, モハンマドさん, オサマさん, マイさん】

この意見書では、エンジニアが認識していなかった学校側の懸念や苦情、また事実とは異なるような内容も書いてあります。まずは全てのコメントに目を通し、内容を精査します。必要に応じて後日学校を再訪問し、現場で確認をします。過失・行き違いがあれば対策を講じ、発生防止に努めます。

JENでは建設・修復工事開始前に、学校側に対して担当エンジニアが工事内容を説明していますが、学校の意見から更なる工夫の必要性が見えてきます。

工事で技術的な問題が発生した場合、JENが設けている工事後6か月の保証期間中に修復をします。実際は、それ以外の問題の割合が多く、解決が非常に厄介です。

特に、支援を受けたヨルダンの公立学校が整備された施設を支援後に自力で維持管理し、故意による破壊行為を防止することが重要です。生徒による施設の破壊行為はヨルダンの公立学校では顕著で、ほぼ全ての援助関係者が共通して抱えている問題です。

問題解決を図って教員の士気を高める維持管理研修を考案したり、清掃員に対して清掃マニュアルを作ったりします。ヨルダンの子どもたちは各家庭ではトイレや洗面所をきちんと使っていますが、一部の生徒の公共施設の使用マナーは家庭とはかなり異なります。支援側の単独解決は、ほぼ限界に来ています。

学校は、子どもが故意に学校施設の一部を破損すると、学校が対応をするよりも「子どもが施設を壊す」という理由を掲げ、支援機関に定期的メンテナンスを要請してくる傾向があります。

学校施設を新たに整備した直後でさえ、生徒の意図的な破壊行為の防止がむずかしく、清掃員がいても施設の維持・管理がされずに使用不可能な状態になってしまった学校施設がたくさんあります。

ヨルダンの公立学校では、シリア難民危機の影響で学校施設が不足しているため、JENを含めた援助機関は学校施設の増築や新築に焦点を当てて支援をしています。ただその一方で、自助努力で施設維持・管理がされないために増築や新築された施設を含む既存の施設の劣化が加速しています。

JENを含め援助機関側は、支援の効果とその後の持続性を高めるため、一刻も早く連携して教育省に協力を求め、学校側の自助努力で施設維持・管理を実践させていく方法を考えて実行に移す必要に迫られています。

 

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The Road ×クーリエ・ジャポン|イードの日、シリア難民は遠い「故郷」が見えるほど空高く飛ぶ夢を見る

2017.07.19

 cj_logo_blue_100px [ 本連載は、クーリエ・ジャポンとの連動掲載です。 ]
ヨルダンのザータリ難民キャンプで創刊された、“難民の難民による難民のための”月刊誌「THE ROAD(ザ・ロード)」。同誌から選りすぐった傑作記事や動画を毎月お届けする。

20170719_JD_A girl largeイードの日におしゃれをしたシリア難民の少女 COURTESY OF THE ROAD

イスラム教の断食月ラマダンの終了を祝う「イード・フィトル」は、ムスリム(イスラム教徒)たちにとって最も大切な祝祭の一つだ。ザータリ難民キャンプで暮らすシリア人たちもまた、故郷での盛大な祝宴に思いを馳せつつ、つつましやかに大事な慣習を続けるのだった。
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イードの喜びとシリアへの哀情に浸る日
Text by Ahmed Ismail Al-Salamat


ザータリ難民キャンプに祝祭を知らせるのぼりがはためき、子供たちは空高く飛ぶ夢を見る。「イード・フィトル(ラマダン明けの祝祭)」には、「遠く離れた家族の姿も見えるほど、高く高く舞い上がる」という意味がある。

キャンプで避難生活を送るシリア難民たちにとっても、イードは待ち遠しい祝日であり、故郷に思いを馳せる日でもある。

アフマド・アル・カティビ(25)は、イードに対する複雑な思いを次のように語った。

「シリアにいたころは、イードの日に遊園地に行ったり、新しい服や花火を買ってもらったりしたものです。難民キャンプにいても、もちろんイードはわくわくしますが、いまだにシリアに残る家族のことを想うと、心から幸せな気持ちにはなれません」

イードの初日には、朝起きて礼拝し、いとこたちがやってくるのを待つ。午後の礼拝の後は、親戚の家を訪ねる。

「シリアでは父と一緒に礼拝した後、母と朝食の準備をしました。朝食後は、祖父の家を訪問し、ゆっくり一緒に過ごした後、友達や親戚の家を訪ね歩きました。
遊園地は笑顔の子供たちであふれていました」

20170719_JD_kidsキャンプのなかのお店でおもちゃを選ぶ子どもたち COURTESY OF THE ROAD

ウム・カセム(56)は、シリアとザータリ難民キャンプでのイードの違いをこんなふうに嘆いた。

「昔は、みんな助け合って生きていたけれど、ここでは残念ながらみんな自分の暮らしで精いっぱい。シリアでは、イードの数日前から、子供たちの服やお菓子、おもちゃの買い物に夫と一緒に出かけたものだよ。イードの初日は、孫たちが朝早くから遊びに来ていた。私が笑顔で迎えると、孫たちは遊園地に行くお小遣いをせがんだものさ。

でも、ここでは同じようにはいかないね。孫たちにはもう4年も会っていないし、近所の人はだれも訪ねてきてくれない」

ムハンマド・アル・ナブルシは、シリアでは父から受け継いだ農園を経営していた。経済的にも恵まれていたので、イードの日には子供たちを喜ばせるためにたくさんの買い物をしたという。

「でも、残念ながら、ここでは仕事がないので、家族が最低限必要なものさえも手に入れることができません。イードのための新しい服やおもちゃさえ買ってやることができないのです。
イードの日が来ても、難民キャンプでできるのは、親戚を訪問するぐらいです。

子供たちに何もしてやれないのは辛い。早くシリアに戻って、失われた時間の埋め合わせをしたいです」

イードの思い出は人それぞれだが、その日に故郷シリアがいっそう恋しくなるのは、すべてのシリア難民に共通しているようだ。


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イードの準備で華やぐザータリ難民キャンプ

イードが近づくと、ザータリ難民キャンプ最大の市場「シャンゼリゼ通り」には、ラマダン明けを祝うためのよそいきの洋服やおいしそうなお菓子が並び、祝宴を心待ちにする人々の顔には笑顔があふれる。動画にて、年に一度のお祭りに沸くザータリの様子をお届けする。

※動画のなかで人々が口にしているのは、「Kullu am wa antum bi-khair(よい1年となりますように)」というラマダン明けの挨拶。

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公立学校での植樹

2017.07.06

ヨルダンの環境省が、メディアを通して「ヨルダン全土が私たちの住まい」という全国キャンペーンを立ち上げました。このキャンペーンは2016年8月に始まっており、ヨルダンの生態系バランスを保つ森林や資源、環境を清潔に保持することの大切さを共同体の構成員である私たちに学習してもらうことが目的です。

 このキャンペーンの一環として、環境省は4月8日を「全国衛生の日」に定めました。そして、人々の注意を喚起し、また私たちが住む土地の清潔さに留意しないことで引き起こされる危険や環境に有害な行動とは何なのかを理解してもらうため、「祖国の叫び:私たちの環境は私たちの生活」をスローガンにしました。

このキャンペーンでは、公共の場所を掃除し、木を植えることが奨励されています。イスラムの預言者ムハンマドは使徒に植林をするように奨励していました。ヨルダンは人口の大半がイスラム教徒であるため、木を植えることはイスラムの善行とみなされ、受け入れられています。

JENのホストコミュニティ事業担当チーム、中でも特に衛生促進活動をするチームが、公立学校で衛生促進のイベントを実施して、このキャンペーンに参加しました。児童や教員と一緒に校内の清掃をし、また学校の敷地の広さに合わせて農業省から苗木の提供を受け、植樹を行いました。バルカ県サルト市にあるヤファ小学校では、生徒とともに学校の花壇に50本以上の苗木を植え、花壇の手入れをしました。

当日は当該校の校長をはじめとする全教員や地元教育局の職員、サルト市の職員がこのイベントに参加し、清掃や植樹のみならず、衛生に関するゲームやサッカーの試合を楽しみました。

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20170706_JD_0420170706_JD_03プログラムアシスタント
アラ・クルディ

 

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The Road ×クーリエ・ジャポン|シリア難民に聞きました!「ラマダン、どう過ごしてる?」

2017.06.29

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5月26日、2017年のラマダンが始まった。イスラム教徒にとって1年で最も神聖なこの時期、ムスリムたちは信仰を深め、身を清めるために日の出から日没まで断食する。ザータリ難民キャンプでも、その慣習はしっかりと受け継がれているようだ。(ザ・ロードの詳細はこちらから

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シリア難民たちはラマダンをどう過ごす?
Text by Ahmed Mohammed Al-Salamat

ラマダンの期間中、イスラム教徒は日没後の食事に親戚や友人を招き、特別なごちそうやデザートを楽しむ。また、ラマダンは争いごとを終わらせる期間でもある。多くのシリア難民は避難生活においても、故郷での伝統や習慣を守り続けたいと願っているものだが、彼らはザータリ難民キャンプでいったいどのように過ごしているのだろうか?

アブ・ルアイ・アルハリーリ(29)は親戚を訪ね、シリアを懐かしみながら夜を共に過ごしているという。シリアにいたころは、家や通りに飾り付けをしてラマダンを祝った。だが、難民キャンプの生活ではそれは難しい。アルハリーリはそれを残念に思っている。

だが、ザータリでもちゃんと受け継がれていることもある。「アル・ムサハラティ」だ。

ラマダンの際には、夜明け前に礼拝(ファジュル)をし、日中の断食に備えて食事(スフール)をとる。このときにドラムを叩きながら祈りを捧げ、寝ている人々を起こしてくれるのが、アル・ムサハラティだ。この慣習はザータリ難民キャンプでも続いている。

「アル・ムサハラティの声で目を覚ますのは、とてもワクワクするものです」とアルハリーリは言う。

日没後の食事のテーブルには、なるべくいろいろな食べ物を並べるようにして、親戚や近所の人と分け合う。そのときは子供たちも大喜びだ。夜の礼拝「タラウィーヒ」の後には、互いに家を訪問し、楽しい時間を過ごす。昔は裕福な人が貧しい人に食べ物を分け与えたものだが、いまではあまりそういった光景は目にしなくなったそうだ。

ウム・アフメド(36)は、「シリアにいた頃は少なくともラマダンの10日前から準備に追われていた」という。

日没の食事のため、挽き割り麦にレンズ豆、それから米、チーズ、ナツメヤシなどを買っておかなければいけない。カマル・エディン(アプリコット)、リコリス(甘草)、タマリンドなどのジュース類も早くから準備していたという。

「親戚を訪ねてごちそうを楽しむ習慣は、難民キャンプでも変わりません。早くシリアに戻って、家族や友人とラマダンを祝いたいです」

ウム・アブドッラ(45)は、シリアでのラマダンをこう振り返る。

「ラマダン月が始まるとすぐに、知り合いに電話してあいさつをします。昔は、貧しい人や困っている人に毎日、必要なものがないか電話をして尋ねたものでした」

ラマダンの初日にはごちそうを用意し、それをご褒美がわりにして子供たちに半日だけでも断食してみようと励ました。この短い断食は「鳥の断食」と呼ばれている。

「懐かしい思い出です。ラマダンになると、ますます早く故郷に帰りたくなります」


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アル・ムサハラティ──夜明けを告げる人々
Directed by Yaser Al-Hariri / Project Director Omar Braika / Supervisor Cyril Cappai, Hada Sarhan

ラマダンの期間中、夜明け前の食事と礼拝のために人々を起こしてくれるのが「アル・ムサハラティ」だ。レダ・イブラヒム・サイードが、ザータリ難民キャンプでこの役割を務めるようになってからすでに3年がたつ。シリアでは人々を起こすためにドラムを叩きながら歩いたが、いまは代わりに水の入った瓶を使っているという。

まだ暗い空に響く彼の祈りは、ラマダンの朝の荘厳さを見る者に伝えてくれる。


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00:08-00:11 さぁ、起きてアッラーを称えよう。
00:12-00:14 スフール(夜明け前の食事)をとろう。
00:16-00:21 神を称賛するものは救われる。
00:24-00:27 アッラーの他に神はなし。モハンマドこそが神の使徒である。
00:28-00:32 起きなさい、アブ・ナディール、起きてスフールを食べよう。
00:34-00:36 夜が明けた。そして、いまこの瞬間、天地すべての主権がアッラーにあるのだ。
00:38-00:40 アッラーの他に神はなし。ムハンマドこそが神の使徒である。
00:43-00:46 起きなさい、アブ・ルストム、起きてスフールをとろう。


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子どものための安全教室

2017.06.22

5月27日より開始したイスラム歴の「ラマダン(断食)」月も、最後の週に突入しました。JENのキャンプスタッフは、勤務時間を短くしながらも、日中は水と食べ物を一切とらずに活動を続けています。

ラマダン中も、以前にご紹介したザータリ難民キャンプの上下水道網の建設は続きます。
通常より活気のない建設工事現場でも、住民、建設業者、各支援団体スタッフが安全を配慮しながら建設に携わっていかなくてはいけません。

現在まで、大きな事故は発生していませんが、建設現場にある重機や掘られた穴、設置された水道管などに興味を持つ子どもの安全対策は徹底しなくてはいけません。

そこで、JENを含む、水と衛生分野で支援活動を実施している団体は、キャンプに住む子ども向けに、建設現場に関する安全教室を実施しています。教室は、キャンプ内にある学校やマカニセンター(私の場所)と呼ばれる、特に脆弱性の高い未成年に教育を中心に心理的ケアを提供する場所で行いました。

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【注意喚起を促す看板】

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【子どもの建設現場の興味は尽きない】

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【建築現場には子どもにとって魅力的な重機も】

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【注意喚起の安全ポスター】

安全ポスターを使って子ども達に「してはいけないこと」を伝えました。例えば、建設現場の安全テープが張られている敷地内に入らないこと。そして、重機に近づかないこと。

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【みんな、真剣に聞いています】

上下水道網建設において、JENは建設業者のサポートを行いますが、それ以上に大切なのは、コミュニティのサポートをすることです。子ども、大人、高齢者、障がい者の方々、そして全住民が安全に過ごす中で、生活レベルをあげるための水インフラの建設を進めることができるよう尽力していきます。

 

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