シリア難民(トルコ)支援速報

トルコに住むシリアの人びとの今

2022.06.23

トルコに住むシリア難民に食糧バウチャー*を配布する事業が終了しました。

トルコは先進国というイメージがある方も多いと思いますが、トルコに住むシリアの人びとは、貧困、差別等さまざまな問題に直面しており、その生活は厳しく、深刻です。シリア難民のほとんどが、非正規雇用で生計を立てているため、季節労働等で冬の間は仕事が無く収入が途絶えていた家庭や、子どもでも働かなければならない家庭が多いのが現実です。
そのため、今回の食糧バウチャーの支援により、ラマダン(イスラム教徒にとって年一番の行事)の時期に食糧を確保する事や、生活必需品を補う事が出来たとの事です。

シリアとトルコの国境付近の地域には、昔から人びとの移動があり、アラビア語を話す人びとが多く住んでいたり、アラブ系の料理が食べられたり、アラブの影響が強く残ります。 
国境付近の地域では、住人の約70‐90%がシリアの人びとです。今回、食糧バウチャーの配布を行ったキリス県もその地域の1つで、シリアの国境に面しています。

近年、トルコで大きな問題となっているのが、ホストコミュニティであるトルコの人びとと、シリアの人びとの間に起こる摩擦です。トルコはシリア難民を360万人も受け入れ、国に負担がかかってしまい、国内の経済が不安定な時に、怒りと不満の矛先が向けられるのがシリアの人びとです。10年近くトルコに住んでいても、トルコの人びとと同じような生活をする事は難しく、選挙権もなく、学校ではシリア人であるためにイジメや差別の対象となり、住む場所になじむ事ができず孤独に感じてしまうと聞いています。母国での戦争前の生活を恋しく思う一方、シリア国内の状況は、未だに危険で戻ることが出来ず、家族や親せきと離れ離れになったまま、行き場が無いと感じているシリア難民がたくさんおられるとの事です。

尊厳のある生活や環境を取り戻すための支援を今後も展開していきたいと考えております。

*バウチャーとは、契約販売店で食糧を購入できるように金額が設定された日本のプリペイドカードのようなものです。

JENの現地事業責任者とキリス県の政府関係者で連携会議をしました。

JENの現地事業責任者とキリス県の政府関係者で連携会議をしました。

古い建物の多いキリス県の住宅地です。

古い建物の多いキリス県の住宅地です。