シリアでは14年に及ぶ紛争により、数百万人が避難生活を余儀なくされています。トルコはその多くを受け入れ、現在も約370万人のシリア難民が暮らしているとされています。昨年末の政変を機に、国連の推計では48万人がシリアに帰還したとも言われていますが、多くは依然として不安定な状況の中、望んでも帰郷が叶わない現実があります。
トルコ国内にいるシリア難民の約9割は、生活費や生活必需品を十分にまかなえない厳しい環境にあり、必要な技能やトルコ語能力を持たないまま、選択肢の限られた安定しない労働に従事している状況が続いています。
加えて、2023年に発生したトルコ・シリア地震が地域経済に深刻な打撃を与え、難民だけでなく現地住民の暮らしも一層厳しさを増しています。
こうした中、2023年から今年にかけて、ジェンはトルコ・ブルサ県で、シリア難民の方々と、彼らを受け入れる地域社会の方々を対象に、地域で需要の高い「調理」「美容」「洋裁」の3分野で職業訓練を実施し、職場で必要とされるトルコ語の実践的な学習も支援しました。
各分野の専門家を講師として招き、受講者が技能と自信を身につけ、修了証を得ることで、より安定した職への一歩を後押ししました。
この事業は、シリア出身者で構成されるNGO「Orange」と連携し、現地の公的職業訓練センターの協力のもと実施しました。訓練に必要な機材も提供し、事業終了後も継続して活用される予定です。
現場を視察したスタッフからは、「講師が親身に教えてくださり、参加者は皆、熱心に、そして楽しそうに学んでいた」との報告がありました。Orangeとの協働も心強く、教育省や訓練センターとの調整、現地の課題への対応など、多くの場面で知見を発揮してくださいました。毎週の会議では、悩みを共有し、共に解決策を見出してきた日々が、今振り返ると何より貴重な時間でした。
ジェンは、これからもトルコで困難な状況にある方々に寄り添い、未来を拓く支援を続けてまいります。引き続き、皆さまの温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。
※本事業は、外務省「NGO 連携無償協力資金協力」及び皆さまからのご寄付により実施しています。