シリア難民支援速報

ラマダンの始まり

2018.05.31

イスラム暦9月の新月から次の新月までの約29日間に行われるラマダンですが、ヨルダンでは、今年は5月17日(木)に始まりました。

日の出(午前4時ごろ)から日の入り(午後7時半ごろ)までは、食事だけでなく、水分も一切取ることができません。日中の日差しの厳しい日に水が飲めないことはとてもつらく、私もラマダンにチャレンジしようと断食を始めましたが、3日間で断念しました。

ラマダン中は日中、レストランが閉まっているため、街はとても静かです。しかし、日没1時間ほど前からお店が開き始め、人も集まってきます。レストランやカフェは早朝4時まで営業しているため、夜の方が賑やかです。また、ラマダンのシンボルである三日月を模った飾りやライトアップをしている家が多く、日本のクリスマスのような印象です。


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先日、JENのホストコミュニティチームで「イフタール」(ラマダン中に行われる日没後の食事)にレストランへ行きました。日没とともに食事を開始しますが、胃に負担をかけないよう、まずはジュースやスープなど水分から取ります。そのほか、ナツメヤシやサラダなどから食べ始め、主食へと進みます。主食はお肉や魚のから揚げなど食べきれないほど豊富な料理があり、アラブ料理のメニューの多さに圧倒されました。

【レンズ豆のスープとナツメヤシ】
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【羊レバーや魚のから揚げなども】
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【ケプセ(羊を丸ごと使った炊き込みご飯)】
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食後には、カタイフ、というホットケーキにチーズまたはナッツを挟み、揚げたものにシロップをかけたお菓子を頂くのがラマダンの定番です。このお菓子はラマダン中にしか見られません。

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ラマダン期間は断食だけでなく、食事を取る時間が日没後と日の出前に限られることから、夜寝られないため、JENスタッフにとっても試練の時期ですが、空腹や眠気と闘いながらも事業に遅れを出さないよう、9時から14時という短い勤務時間に集中して仕事に取り組んでいます。

【ホストコミュニティメンバーでのイフタール】
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ヨルダン衛生の日イベント

2018.05.17

5月10日、首都アンマンから北へ48kmの位置にあるジェラシュ県にある学校にて、衛生の日イベントを開催しました。

ジェラシュ県は森林の丘陵地と肥沃な盆地に囲まれた平野部にあります。青銅器時代(紀元前3200年から紀元前1200年)から集落があったと言われ、紀元前 63 年にポンペイウス将軍によって征服されてローマの支配下に入り、ローマ帝国の十都市同盟、デカポリスのひとつとなり、交易で栄えた町です。現在は約24万人*が住む、ヨルダンで第4の県です。

今回は、このジェラシュ県にあるボルマ女子小学校の生徒93名を対象に衛生の日イベントを行いました。

イベントでは、JENの衛生促進チームが開発した道具やゲームを取り入れています。これらのゲームを通して、生徒たちが遊びながら手洗いの大切さ、正しい手の洗い方や衛生的な生活を送るための正しい行為など、幅広い衛生知識を学び、身に着けることができるように工夫しています。通常の学校カリキュラムでは、日本でいう保健体育の授業はなく、衛生知識を教えるノウハウやツールもないため、先生方からも感謝のお言葉を多くいただきました。

現在行っている事業終了まで残り数か月という限られた期間の中で、JENの衛生促進チームは力を出し切るべく、日々学校を訪れ、イベントやセッションを実施しています。

【手洗いのタイミング、きれいな水を飲むこと、爪切りや髪をとかすことなど、衛生的な生活を送るための行為を学ぶゲーム】
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【手形を壁につけた後、正しい手洗いを学び、実践】
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【衛生折り紙を作りながら、手洗いのタイミングと必要性を伝えるJENスタッフ】
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*Ministry of Interior, JordanのHPを参照:


教育省への学校引渡し

2018.04.19

先日、アンマン県にあるAl Mzayer comprehinsive 女子学校の修繕と増築工事が完了し、ヨルダン教育省への引渡しを行いました。この学校には現在約370名の女子生徒が通っており、その5%がシリア人です。今回、6教室の増築、トイレ5席の増築、手洗い場の補修および既存教室の補修を実施しました。

ヨルダンでは多くのシリア難民を受け入れている事などにより、教室数の不足が問題になっています。この工事により学校へ通うことができる子どもが増えます。

また、トイレと手洗い場の補修も行い、子どもたちへ行った衛生に関するセッションの内容を実施できるように環境を整えました。セッションでは手を洗って清潔に過ごすことを重点的に啓発しており、手洗い場の整備はその実践に不可欠です。

JENのエンジニアは引渡し後も引き続き学校を訪問し、実際に生徒が使っている際に不具合がないか確認をしていきます。

<補修前>
蛇口が壊れ、ごみが詰まって水が流れず使えなっていた水洗い場。
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<修繕後>
蛇口をすべて付け替え、汚れにくいタイルへの張り替えを実施。ゴミによる詰まりも解消しました。

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元々倉庫だった場所の壁を取り払い、補修したことで教室として利用できるようになりました。(先生が立っている場所が元々壁があった場所)

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<増築工事>
既存校舎の3階に増築した教室とトイレ

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トイレは生徒が壊さないよう、タンクを壁に埋め込んでいます。

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衛生教育の正しい知識を

2018.03.23

子どもたちが衛生的な行動を日々の生活習慣として身に着けられるようにするためには、親の理解が重要です。そこで、JEN衛生教育チームは保護者会(日本でいう、いわゆるPTA)向けに衛生セッションを開催しました。セッションでは、手洗いの方法など基本的なことから、子どもによく見られる感染症や生理に関する正しい知識を親と先生に伝えています。

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イルビッド県にあるハワラ女学校(Hawara basic school for girls)では、校長先生へのヒアリングをもとに、感染症予防や対策方法および衛生教育について正しい知識が得られるよう、セッションを行いました。
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感染症については、子どもによく見られるシラミや皮膚病について話をしました。シラミは感染していることに親や子どもが恥じて病院に行けないことがとても多いため、まずは家庭でできる治療法を紹介しています。

加えて、今回は女学校でのセッションであったため、生理教育についても話をしました。月経については文化的に話をすることをタブーとする親が多く、初潮を迎えた際に子どもが困惑するケースが多く見られるため、親が子に説明をすることの大切さを伝えています。また、昨今はインターネットでいろいろな情報にアクセスできますが、知識がないと正しいかどうか判断が難しいため、生理に関する正しい情報を伝えています。今までこのテーマについて人に聞くことができる機会がなかったため、親や先生からはたくさんの質問を受け、2時間にわたるセッションとなりました。

今回参加してくれた約120名の母親たちや先生方が、今後正しい知識を子どもたちやコミュニティに広めてくれることを期待しています。

 


子どもたちが安心して勉強できる学校づくり

2018.03.08

ホストコミュニティーチームでは現在、公立校11校の修繕および増築を行っています。

シリアとヨルダンの国境に位置するイルビッド県にあるマーロー女子校(Marw basic school for girls)では、教室および廊下修繕工事の一部が完了しました。この学校には、6歳から12歳のヨルダン人とシリア人の生徒318人が通っています。

ヨルダンの首都、アンマンと東京の平均気温は通年を通してほぼ同じですが、教室には暖房設備が備え付けられていません。廊下には窓がないため冷たい風が直接教室に吹き込んで教室が冷え込み、また、雨が降る日は廊下が水浸しになって滑り、とても危険でした。

今回の修繕工事では、廊下に窓を設置し、風雨を防ぎ、同時に床の張り替えも行いました。床は強度が高く、汚れにくく滑りにくい磁器タイルを使用することにより、安全に衛生的に長く使えるよう工夫をしています。

同校では4つの教室の増築工事も行っています。ヨルダンおよびシリアの子どもたちが勉強に集中できるような学校づくりを目指し、4名のJENエンジニアが日々工事現場に足を運んでいます。

<修繕前>
20180308_JD_01_before壁が低く(元の外壁の高さは右の白い部分)、落下の危険があったうえに風雨にさらされるため、雨が多い冬は特に危険。また、床はセメントのため汚れを吸収してしまい、不衛生でした。

<修繕後>
20180308_JD_02_after1壁を高くして補強し、窓をつけ風雨が直接教室に吹き込まないように修繕。床は強度が高く、汚れにくく滑りにくい磁器タイルを使用。

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教室内の塗装および床の修繕も行い、衛生的な教室で授業が実施できるようになりました。


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