シリア難民支援速報

ザータリマガジン【The Road】の意義

2015.10.08

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ザータリ難民キャンプでJENによる技術訓練・指導のもとキャンプの住民たちが発行している月刊誌『The Road』を手に取り喜んでいる子どもたち。
プロジェクトを通じて、ただ支援を待つだけではなく自分たちで何かをつくる・行動することが、生きる上でいかに大切であるか、気づかせてくれます。

(写真:田中健一)

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堆肥作りプロジェクト

2015.09.17

JENが支援活動を行っている難民キャンプのような環境において、水の確保・生活排水などの下水の処理・日常における家庭から出るゴミの処分などは、人口密度が高い難民キャンプで感染症の蔓延を防ぎ、衛生的な生活環境を保つために、最優先で取り組むべき課題です。

JENは、ザータリ難民キャンプ内の12地区のうち、3~5区の水・衛生分野の統括団体として、このような水・衛生改善全般の問題に取り組んでいます。

今回、新たな衛生改善の取り組みの一つとして、JENは8月上旬から家庭ごみの減量のために堆肥作りの試験的試みを始めました。JENが統括している3地区から各地区1家族が参加し、材料・方法などの最適条件を学びます。

家庭用のゴミ箱の底を切り取り、10cmほど地中に埋め、容器の中に生ごみ・雑草などを入れ、水分を加えます。毎日かき混ぜて空気に触れさせ、それを地中から出てきたミミズが食べて分解することにより、約2か月から3か月で堆肥ができます。3家族とも初めての経験ですが、JENスタッフによる週1回の訪問時にアドバイスを受けながら進めています。

1か月が経過し、それぞれの世帯による試みに違いがみられてきました。‘臭いがする’、‘ハエが飛ぶ’などの現象がみられる場合はスタッフのアドバイスにより改善し、容器を設置する位置、材料の種類・状態、撹拌といった条件への理解が徐々に深まっているようです。

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5区から参加しているタラルさんは、キャンプでの生活もすでに3年目となりました。避難前はシリア南部に位置する町で農業を営んでいた経験から、敷地内に野菜、食用ハーブ、花などを植えています。
今回この取り組みに参加して「生ごみの量が大幅に減った」ということで、「今後も継続し、できた堆肥を敷地内の菜園で使用することを楽しみにしている」とおっしゃっています。

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砂漠地帯に位置するザータリ難民キャンプでは、樹木が少なく、またその少ない樹木も砂埃で茶色くなっていることが多い中で、タラルさんの庭の植物は近所の住民にも安らぎを与えていることでしょう。

現在この取り組みは試験段階ですが、この運動が普及し、少しでも難民キャンプでの生活状況が改善されるよう活動を行っていきます。

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公立学校を対象にした水衛生環境の改善支援

2015.09.07

6月の支援速報では、JENは、ヨルダン全国の学校3,681校でニーズ調査を終了したとお伝えしました。今回は、その後の活動をお伝えします。

難民キャンプの外で難民を受け入れているヨルダン側の地元コミュニティのことを「ホストコミュニティ」と呼びます。JENの中で、そのヨルダンのホストコミュニティを対象に支援活動を行うチームは、ユニセフ(※1)と共に上述のニーズ調査の結果を分析(※2)し、全国の学校を4つのカテゴリーに分類しました。さらに、今回の支援対象校を決めるにあたり、現時点で早急に支援を必要とする1,200近くの学校の中から、更に113校まで絞り込む必要がありました。

(※1)ヨルダンでは、水衛生分野の支援活動はユニセフが主導します。難民キャンプ、ホストコミュニティを問わず、支援団体がどこでどの活動をしているかの把握や支援のための基準を決め、共有するなど、国際NGOや地元のNGO等との支援調整を図っています。

(※2)ニーズの分析は、支援の国際基準である『スフィアスタンダード』を基準にし、支援対象国の状況に合わせます。『スフィアスタンダード』とは、人道支援の現場において全ての支援者が配慮しなければならないとされる行動基準です。水衛生分野では、「生徒一人当たり何リットルの水が使えるのか」や、「生徒何人に対してトイレの数がいくつ必要か」等が決められています。

学校を絞り込む際には、「ヨルダン教育省所有の建物であること」、「全校生徒の数やシリア人難民の割合」、「建設スペースの有無」、「他団体と支援学校の重複がないか」等を教育省や地方政府の教育局と確認し、それを選定の基準としました。教育省から選定した学校に対して正式承認が下りるまでは、実に3-4週間もの時間が経っていました。

このようなプロセスを経て、現在、教育省から正式承認を得たヨルダン国内11県にある97校で水衛生施設の修復と建設を進めています。学校が夏休み中で生徒が校内にいなかったこともあり、すでに約60校近くの学校で水衛生施設の修復が終了し、トイレの新規建設も7割完成しました。

ヨルダンの公立学校では、女子トイレは明るめの紫色に塗装し、男子トイレは青色に塗装するようです。

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ヨルダンでは、保護者が子どもに学校の水衛生施設の清掃をさせるのを拒む傾向が強くあります。男子もそうですが、特に女子生徒の中には学校のトイレは汚いため絶対に使わない、という子が沢山います。清掃をしないのであれば尚更、不衛生になります。また、学校によっては教員独自の判断で、不必要な数のトイレや飲み水の蛇口は生徒に使用させないように錠をかける等、子どもたちの権利は保護されていません。

そこで、新学期の9月から、JENの衛生促進員が上記97校を含む全国約113校の学校で衛生教育活動を実施します。衛生教育では、学校や子どもの衛生環境の向上と事業の持続性を目指し、教員や生徒、また保護者を対象にして、適切な衛生習慣を実施することの大切さ、生徒たちの水衛生に関する権利、清潔な衛生施設の維持管理や水の保全に対する意識の向上を指導していきます。

 

この活動は、支援者の皆様をはじめ、ユニセフの協力を得て実施しています。

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配水と排水

2015.08.24

シリア難民が暮らすザータリ難民キャンプは、6平方キロメートル弱の中に、現在約80,000人の人びとが暮らしています。人口密度の数値だけをみれば、世界でもこれより多い都市もあるでしょう。でも、ザータリキャンプには、1階建ての建物しかないことを考えると、住宅の密集度合は単純に比較できません。

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↑ 通称シャンゼリーゼ通り。多くの買い物客で賑わうマーケット。

また、住宅が密集しているだけではなく、上下水道がないという問題を抱えています。

水はトラックでキャンプへ運搬され、いたる所に設置されている公共の水タンクに給水されます。難民の人びとは、そのタンクからバケツやポリタンクで水を家まで運ぶのです。
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↑ 配水を待つ列

また、下水がないため生活排水は家屋から外にそのまま流している状態です。
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↑ 家屋から排出された生活水

これらの問題を解決するため、JENは複数の支援団体と共に上下水道設備の設置作業を行っています。生活における利便性が向上するというメリットは明白ですが、難民の人びとにとってはそれ以外にもたくさんの意味があります。

1.水を汲みに行く手間がなくなる
2.運用コストがシステムの保守点検のみとなり、トラックによる配水より低コストで運用できる。そのため、支援団体の規模縮小後も持続的に活用できる
3.大型排水トラックが通らないため、特に狭い路地に住む住民の安全性が増す
4.トラックの走行による騒音がなくなる
5.生活用水が路面に露出しないため、衛生環境が改善される (病気、悪臭の予防、景観の向上)

キャンプ設立から3年が経過しシリア情勢の安定がまだ見えない状況では、中長期的な視野が必要不可欠で、このインフラの整備もその1つです。
そして、このような大きなプロジェクトには、計画・技術・資金面で多大なリソースが必要になってきます。各所と連携し、サポートを仰ぎながら、少しでもシリア難民の生活状況が改善されるよう全力で支援活動を行っています。

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遥かなるシリアに想いを馳せる

2015.07.23

「キャンプで好きなのは、庭だけだ。キャラバンもこの暑さも、好きじゃない」

こう話すのは、ザータリ難民キャンプに暮らすシリア難民の男性。シリアはきっと豊かな大地なのだろうと、そのあと彼が目を輝かせて話すシリアに耳を傾けました。彼が教えてくれた美しい国、シリアを探して、インターネットで「シリア」を検索してみました。すると、検索結果は銃や戦車、破壊された街々、そして呆然と立ち尽くす人。美しい、いや、戦闘前のシリアを探して、「シリア 街並み」と検索してみると、今度もまた、瓦礫の山が出てきました。キャンプの壁にサインペンを使って子どもたちが元気いっぱい描いていた自然豊かなシリア、友人たちが語る雄大なシリアは、想像するしかありません。

【子どもたちによるペイントの風景】
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キャンプから北方へ目を向けると、日本とは違う薄桃色にもやがかった地平線が見えます。15キロ先のそこが、祖国シリアです。キャンプに暮らす人びとが、平和になった祖国に戻れる日はいつ来るのでしょう。私はここで、わずかな時を彼らと共に過ごさせていただいています。インターンを始めて1ヶ月、ここで、私は何を学ぶことができたのか、ラマダンが終わる区切りの今日に、書き記しておきたいと思います。

私は現在、JENが情報共有手段としてまた、職業訓練として難民の方を対象に実施している雑誌プロジェクト「月刊誌“アルタリク(THE ROAD)”」と、支援物資としてこれまで3年にわたり配布させていただいた冬物衣服のうち、汚れや破損があったために配布しなかった不良品を再利用する女性のクラフト作りのプロジェクトに参加させていただいています。活動への参加を通して、自分はなにができるだろうか。この1ヶ月間ずっと考えていました。ピエロの格好になることで、人びとに笑顔を取り戻すことはできないだろうか。そう思ったのは、私がへたなアラビア語を話すときや、日本の話やシリアの話をするとき、共に何かの活動をするときに、人びとの楽しそうな様子を肌で感じたことがきっかけでした。

【ザ―タリキャンプ月刊誌“アルタリク(THE ROAD)”】
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今日も月刊誌メンバーは、勇んで次号の記事のためのインタビューに出かけていきました。私も同行しました。アラビア語があまりわからない私でも、取材に同行すると必ず新しい発見があります。こうして、同じときを過ごし学び、ともに考えることで、私自身もキャンプ生活に何か新しい、少しだけ楽しみに感じる何かや、小さなアイディアを提案できたらいいなと思っています。

【インタビューの様子】
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7月、キャンプ敷地内の気温は日中40度を超える日が続きます。私は、キャラバンの脇にできた木陰に、アラビア風のマットを敷き、その上に寝転びます。庭の緑を揺らすわずかな風を感じれば、なんだか少しは心地よい。その風に吹かれながら再びシリアに想いを馳せてみる。男性が教えてくれた美しい祖国シリアを想像しつつ、彼らが好んでくれるようなピエロになるべく精進していきたいと思います。

インターン生

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