ヨルダン

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ヨルダン

JENはイラク事業の拠点として2003年よりヨルダンの首都アンマンに事務所を構えており、シリアから難民が流出し始めた2011年当初から状況を注視していました。2012年9月に、ヨルダン・シリア国境近くに位置するザータリ難民キャンプとホストコミュニティ(難民キャンプ以外の現地難民受け入れコミュニティ)において、シリアから避難してきた人びとへの支援を開始しました。

2016年は、約8万人が住むザータリ難民キャンプにおける水衛生関連設備の維持管理および上下水道のインフラ整備などの水衛生環境支援、およびコミュニティを主体とした衛生促進活動を通じた衛生環境の維持・改善を行いました。また、コミュニティ強化を目的として始まったプロジェクト、ザータリマガジン「Al Tarik (The Road)」の発刊に加えて、5月から新たに難民一人ひとりのストーリーを難民自身の手で映像化して配信するプロジェクト「IN TRANSIT」を立ち上げました。

一方、ホストコミュニティでは、シリア人児童を受け入れることにより公立学校の生徒数が急増し、教室の不足や、施設の酷使による学習環境の悪化が問題となっています。この緊急事態に対応するため、JENが実施した全国公立学校のニーズ調査結果を元に、緊急に支援が必要であった公立学校の水衛生施設の建設・修復及び衛生教育支援を行いました。

2017年も引き続き、難民キャンプにおけるインフラ整備、水衛生関連設備の維持管理と衛生促進活動、ホストコミュニティでは公立学校施設のインフラ整備と衛生促進活動を行っていきます。

シリア情勢の悪化と周辺国への難民流出

シリア情勢の悪化と周辺国への難民流出

2010年12月18日に始まった、チュニジアでの民衆蜂起の影響を受ける形で、シリアにおいても2011年3月より南部ダラア市にて暴動が始まり、武装闘争へと発展しました。闘争の激化に伴い、一般市民の生活は脅かされ、国内避難民および国外へ避難する難民の数が日ごとに増加する状況が何か月も続きました。2017年2月時点でのシリア国外避難民数は約490万人、1月末の国内避難民数は約630万人、そして支援を必要をする人たちの数は約1,350万人にも及んでいます。主要難民受け入れ国の一つ、ヨルダンでは約66万人のシリア難民を抱えています。

*出典:UNHCR Syria Regional Refugee Response, 2017年2月時点/ UNOCHA, 2017年1月時点

シリア情勢の悪化と周辺国への難民流出

戦火を逃れてたどり着いたヨルダンの難民キャンプにおいても、厳しい生活状況が待ち受けています。5.3k㎡(東京ドーム約112個分)の広さに、12もの地区があるザータリ難民キャンプは2012年7月29日に設立されました。2017年1月現在79,559名の難民を抱えるザータリ難民キャンプは、世界で5番目に大きな難民キャンプで、また世界最大のシリア難民キャンプです。*

砂漠地帯に位置するため寒暖の差が激しく、夏は灼熱の日差しを遮るものはなく、冬は雨や雪の降る中気温が氷点下になる日も多々あります。また、広大な砂漠に吹く強風による砂埃も、難民の生活や健康に影響を与えています。ヨルダンは世界で3番目に水の少ない国であり、水が非常に貴重なものであるため、多くの難民を受け入れている現状において、恒常的な水の確保が重要課題となっています。

*出典:UNHCR Syria Regional Refugee Response, Inter-agency Information Sharing Portal, 2017年1月時点

水衛生環境の改善とコミュニティ強化(ザータリ難民キャンプ)

水衛生環境の改善とコミュニティ強化

文化的背景から、シリアとヨルダンの人たちの間では、水の利用の仕方に大きな違いがあります。もともと水資源の少ないヨルダンでは、難民数の急増などにより一人当たりの水の供給量が減少し、難民キャンプ内においても住民に均等に水が行き届くよう供給するのが困難となっています。不平等な水の供給は、人びとの間で不公平感を生み、大きな不満にもつながるため、水問題の解決は喫緊の課題となっています。難民キャンプでの生活が長期化する中、JENは2013年10月より、人びとが割り当てられた量の安全な水に平等継続的にアクセスできること、また汚水による衛生環境の悪化を防ぐことを目指し、他団体や国際機関との協働のもとキャンプ内の上下水道の大規模なインフラ構築を進めています。

水衛生環境の改善とコミュニティ強化

現在は、2012年のキャンプ開設以来継続的に使用され、老朽化している公共の給水タンクの補修整備や、各世帯のトイレの新規設置・改良作業等を実施しています。また、これら水衛生設備の維持管理の重要性を住民に喚起し、コミュニティが主体となって衛生環境の維持管理を実施できるようになることを目指して活動しています。

衛生促進活動(ザータリ難民キャンプ)

衛生教育促進事業

住民が正しい衛生知識を取得し、主体的に衛生習慣を実践していくことは、感染症の蔓延予防等の観点から重要です。JENでは、手洗いの大切さ、学校で流行するシラミ防止、口腔衛生等をテーマに、キャンプ内の住民で構成されるコミュニティ衛生プロモーターによる衛生セッションを実施しています。また、住民の半数以上を占める17歳以下の子どもたちが楽しみながら衛生について学べるよう、子どもたちを対象としたセッションやイベントも実施しています。

ザータリ難民キャンプの人と人をつなぐ、メディア・プロジェクト

JENは、長期化するキャンプでの避難生活に少しでも希望を抱くことができるよう、若者がジャーナリストやカメラマンになるという夢をもつ機会と、それらを追い続けられる環境を、雑誌発行と映像制作のメディア・プロジェクトを通して提供しています。将来母国シリアに戻った際には夢を現実にし、ジャーナリズムを通じて復興の中心を担ってもらいたいと願っています。

2016年5月、メディア・プロジェクトのウェブサイトを開設し、キャンプの住民だけではなく、広く世界に向けて難民の声を発信できるようになりました。

ウェブサイトはこちらから

雑誌「The Road」(2014年10月~)

雑誌「The Road」

東京ドーム112個分の広さにあたるザータリ難民キャンプ内の移動手段には制約があるため、住民の移動は制限されています。そのため12におよぶ他地区の住民と交流の機会を得たり、支援団体からのサービスやイベント等の情報を得る事は非常に困難で、適宜住民が情報を得ることができ、かつ住民からも情報を発信できる仕組みをつくる事が急務でした。そこでJENは、住民自らがキャンプ内の情報を発信する雑誌の創刊を決めました。それが、アラビア語の月刊誌「Al Tarik (英語名:The Road)」です。

雑誌「The Road」

JENは、この雑誌の刊行によって住民同士の強いネットワーク構築のみならず、キャンプに住む若者の夢のサポートをしたいと考えています。社会経済的な理由で、住民の50%以上を占める17歳以下の若者の教育へのアクセスは限られています。また、キャンプ内で収入を得ようとしても、数や職種が限られています。閉鎖的な難民キャンプでの生活が長引き、若者は無力感や倦怠感、将来に対する不安を募らせています。 このような状況の改善を目指して、JENは若者を対象に雑誌作成の職業訓練と実践の場を設けました。これまでに300人を超える若者が、企画・取材・撮影・執筆・デザインなどの雑誌編集に携わりました。執筆時にはヨルダン人のベテラン編集者が指導にあたり、デザイン時にはプロのグラフィックデザイナーが訓練生と一緒に考えます。これらの活動を通して、彼らの創造力や社会への一体感、リーダーシップが養われる事を期待しています。

動画「IN TRANSIT」(2016年5月~)

動画「IN TRANSIT」

雑誌の刊行から約1年半を経て、JENは映像配信プロジェクト「IN TRANSIT」を立ち上げました。難民一人ひとりのストーリーを、難民自身の手によって映像化し、インターネットを利用して配信します。
製作チームはジャーナリストやカメラマンになる夢を抱いていたキャンプに暮らす男女15-25歳のシリア難民の若者で構成されています。

動画「IN TRANSIT」

彼らが目指すのは、難民一人ひとりの日常生活を世界に伝えることです。当初、チームのほぼ全員が映像制作未経験でしたが、映像製作のプロの指導によって 、現在ではテーマ選定から出演者探し、取材、企画提案、撮影、編集までの工程を行っています。

 

IN TRANSIT特設ページはこちらから(日本語のみ)

水衛生設備の建設および学校建設の補修(ホストコミュニティ)

水衛生設備の建設および学校建設の補修(ホストコミュニティ)

シリア危機の影響を受けて、ヨルダン国内には難民キャンプの外にも多くのシリア難民が流入しました。ホストコミュニティに住む知人や親せきを頼って避難している人は、ヨルダンに避難する全難民の約8割にのぼります。シリア難民の子どもたちがヨルダン国内の公立学校に通うようになった結果、生徒数が急増し、教室やトイレ数が不足し、過去2年で197校が2交替制を敷く深刻な事態に陥っています。

水衛生設備の建設および学校建設の補修(ホストコミュニティ)

JENは、2012年10月のホストコミュニティのシリア難民に対する支援開始時から現在まで、多くのシリア難民の生徒を受け入れているヨルダンの全12県の公立学校を対象に、トイレや手洗い場などの水衛生施設の増築と児童数の増加によって酷使された既存施設の補修を行っています。不衛生な学校のトイレは、特に女子児童の不登校や早退を引き起こしています。学校のトイレの衛生環境を整えることで、子どもたちが安心して通学し、学習に取り組むことができるよう支援を進めています。

また、ヨルダンの水事情を鑑み、学校で子どもたちが手を洗った排水を再利用する仕組み作りにも取り組んでいます。

 

ホストコミュ二ティでの活動について、詳しくはこちらから (フェイスブック/英語またはアラビア語のみ)。

衛生教育(ホストコミュニティ)

衛生教育(ホストコミュニティー)

水衛生施設の整備と同時に、正しい衛生習慣を身につけることも大切です。公立学校における水衛生設備の不足や疲弊等により就学する子どもたちの水因性疾患による健康被害が懸念されるため、疾病予防のための石鹸を使った手洗いや、基礎的な口腔衛生,食品衛生、学校環境衛生の意識向上・生活習慣の改善に重点を置いて衛生教育を実施しています。

JENでは、まず教師に対して衛生教育を行い、彼らが生徒に衛生指導をし、生徒は衛生促進のためにクラブを作って教員と共に全校生徒に促進活動を続けることで、学校全体、ひいてはコミュニティ全体への衛生知識・衛生習慣の普及を目指しています。また生徒たちに石鹸、歯ブラシ、歯磨き粉、ハンドタオル等の衛生キットを配布し、家庭と学校で石鹸を使った手洗いや歯磨き等を実践してもらっています。

さらに、水衛生施設の正しい使い方と清潔に保つ維持管理方法、また水保全についても指導を行っています。

ヨルダン国教育省および国連の水・教育支援分野へのサポート (ホストコミュニティ)

ヨルダン国教育省および国連の水・教育支援分野へのサポート (ホストコミュニティ)

ヨルダン国内には、約3,681校の公立校があります。水・衛生の支援を必要とする学校は半数以上に上り、JENは2012年10月の支援開始から400校以上に対して支援を実施してきました。

水衛生に関しての全国ニーズ調査をユニセフと実施し、ユネスコとユニセフと共同でそのデータを教育省のデータベースに統合して支援に活用するシステムを構築しています。

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