シリア難民支援速報

アズラック難民キャンプでの衣料配布-準備編

2014.11.13

11月に入って、ヨルダンでも朝夕はぐっと冷え込むようになり、冬の到来を感じさせられます。JENは、2014年4月30日から新たに運営が開始されたアズラック難民キャンプで衣料配布を行うべく、UNHCRや他の関連団体と調整を重ねてきました (アズラック難民キャンプを初めて訪問した際の様子はこちら) 。

その結果、11月中旬に、アズラック難民キャンプで生活する難民全員およびキャンプに到着する新規難民を対象に、ユニクロとLutheran World Federation (LWF, ルター派世界連盟)から寄付していただいた冬服を配布出来ることになりました。

【アズラック難民キャンプの倉庫に届いた冬服】
141113 ①届いた服1141113 ②届いた服2
配布のためには、ベールやダンボールを開梱し、衣服をサイズや種類別に分けた後、個人用(男性・女性・子ども・乳幼児など)のパッケージを作る必要があります。
今回、その作業はアズラック難民キャンプ在住の難民ボランティアに、有償で依頼することになりました。アズラック難民キャンプのコミュニティセンターを運営している団体の協力を得て、候補者のリストに電話をかけ、必要な数のボランティアを確保しました。脆弱な立場に置かれている女性たちを少しでもサポートするため、ボランティアの半数以上は女性を選びました。

【作業に従事するシリア難民ボランティア。 写真では分かりづらいですが実際には半数以上が女性です】
141113 ③ボランティア1141113 ④ボランティア2
【乳児用・子ども用のパッケージの例】
141113 ⑤子ども用1141113 ⑥子ども用2
アズラック難民キャンプには、ザータリ難民キャンプ内にあるような市場は存在せず、1軒だけあるスーパーマーケットで販売されている衣服はそれなりの価格がつけられているため、越冬支援のための衣服を配布する意義は大きいと言われています。

衣料がアズラック難民キャンプの倉庫に届いたのが配布予定日の1週間前だったため、配布まで限られた時間しかありませんでしたが、JENのヨルダン人スタッフの必死の働きと難民ボランティアの貢献により、何とか間に合わせることが出来そうです。

アズラック難民キャンプ在住の12,000人と新規難民の負担を少しでも軽減し、ニーズに応えるため、JENは日本からの支援に支えられつつ、日々活動しています。

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世界手洗いの日 ザータリ難民キャンプ

2014.10.30

世界手洗いの日は、石鹸で手洗いをするということを啓発するため、2008年に初めて行われました。その後毎年10月15日に行われ、下痢、風邪やインフルエンザなどの予防に一役買っています。

【世界手洗いの日のキャラクター】
141030 ①キャラクター
清潔にすることはヨルダンやシリアなどのイスラム教の国々でも生活に重要なものとして位置づけられています。しかし、ザータリ難民キャンプで暮らしている子どもたちに石鹸を使った正しい手洗いの仕方が定着しているとはいえず、手洗いが身に付くことで子どもたちの健康を保つことができます。これはジェンが日々行っている活動です。

ジェンは今年、ヨルダン北部にあるザータリ難民キャンプで世界手洗いの日のイベントを子どもたちと一緒に行い、食事前、トイレの後、汚いものをさわった後に、石鹸で手洗いをするということを啓発しました。

この日は大変盛り上がり、子どもたちはただ座って聞いているのではなく、活発に動いてイベントに参加していました。2地区に住んでいる子どもがこのイベントに参加するため招かれ、衛生や手洗いに関するゲームを行いました。病原菌を例えるために彼らの手がインクで塗られたときは、とても楽しそうでした。次に、3人の子どもが同時に目隠しをし、石鹸で手洗いをして病原菌を落とします。その中で最もきれいにインクを落とした子、あるいは一番上手く手洗いができた子が勝者となりました。
その後も手洗いを意識づけようと少年たちがおもちゃに色を塗ったり、楽しそうに取り組んでいました。

【女の子が手洗いをし、小さい男の子がそれを見ている様子】
141030 ②手を洗う女の子たち
【石鹸で手洗いをすることを教えられている少年たち】
141030 ③風車づくり
また、キャンプ内にあるジェンが活動している地区で、世界手洗いのキャラクターの着ぐるみを着たスタッフがウォーキングツアーを行いました。このライブショーは子どもと一緒に遊びながら、目に見えるように衛生のメッセージをわかりやすく発信することができる有効なアプローチです。また、スタッフが着ぐるみを着て変装して行うことで、伝統的な考えや文化的な背景にある慣習というものに捉われることなく、自由な形で衛生に関するメッセージを発信することができました。

【世界手洗いの日のキャラクターとともにきれいになった手を掲げている子どもたち】
141030 ④子どもたちとキャラクター
ジェンが行っているもう1つのイベントで、おそらくキャンプ内でもっとも多くの人に知られているのが、サッカーゲームです。このゲームでは、子どもたちが“せっけん”チームと“ばい菌”チームに分かれてサッカーします。“せっけん”チームは青色のリボンをつけ、“ばい菌”チームは茶色のリボンをつけて、識別します。そしてジェンスタッフがゲームの審判役になります。
今回の試合では、残念なことに3試合中2試合“ばい菌”チームが勝ちました。しかしジェンスタッフはすかさず、この状況について子どもたちに「きちんとせっけんで手を洗えば、次回の試合ではばい菌チームに勝てるよ!」と伝えました。

【“ばい菌”チームがボールをうばったところ】
141030 ⑤Germsチーム
【女の子が最初にボールを奪い取った瞬間】
141030 ⑥女の子たちの競争
サッカーの試合は他の観客や大人たちにとっても楽しいものです。試合中は、多くの応援、エールが試合をするそれぞれのチームの子どもたちに送られます。他の地区の住民も、試合を観戦するために足をとめ、拍手やエールを送るほどでした!

そして夕方、試合終盤のペナルティキックの場面では、すべてのコミュニティでの活動が終了したジェンスタッフも、地区の大人たちと一緒に声援を送りました。

【“せっけん”チームを応援する女の子たち】
141030 ⑦ Soapチーム

 

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PTAに対する衛生授業

2014.10.16

夏休みが終わり、新学期が始まった学校で、JENの衛生プロモーターと、衛生教育の訓練を受けた教師が、生徒の親御さんを対象とした衛生授業を行いました。
家庭における衛生環境は子どもの健康に直接関わってくるので、親に対する衛生教育が重要になるのです。

【PTAに対する衛生授業.】
141016 ①PTAに対する衛生授業
校長先生やほかの先生たちが、親御さんに対して、電話による呼びかけや、招待メールを送るなどして、衛生授業を受けてもらうよう促しました。またJENの衛生プロモーターたちが子どもたちにビラを配り、毎回多くの親御さんや近隣の方が参加しました。
学校に関わるプロジェクトに親御さんが理解し関わることの重要性を強調した結果、期待した以上にたくさんの方が参加してくれました。

子どもの健康や衛生に気を配る母親だけでなく、父親やモスクを掃除する近隣の住民や先生方が授業の合間を縫って参加し、毎回活発な議論が行われました。

【PTAに説明するJEN衛生プロモーター】
141016 ②PTAに説明するJEN衛生プロモーター
親御さんとの話し合いでは特に、朝食の問題に焦点があてられました。JENの衛生プロモーターは、朝に健康的な食事を子どもに摂らせるように強く勧めました。というのも、ヨルダンの生徒は朝食を摂らずに学校へ来てしまい、外の屋台から不健康なものを買って食べていることが、しばしば見受けられるからです。

JENの衛生プロモーターチームは訓練を受けた先生とともに、今後も生徒の親御さんをはじめ親類の方々に衛生授業を行い、子どもたちの健康を守るために話し合いを続けていきます。

【掃除をしたのち校庭にいた笑顔の子どもたち】
141016 ③笑顔の子どもたち

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初めてのアズラック難民キャンプ訪問

2014.10.02

9月も終わりに近づき、ここヨルダンでも朝夕は気温が下がり、秋の漂いが感じられます。これは暑い日差しの下で活動するスタッフにとっては喜ばしい変化です。
しかし一方、冬の到来は多くの課題もつきつけられます。特に、最近ヨルダンに着き、冬への十分な準備ができていない難民にとっては大きな問題となります。

そのような苦境におかれている難民への越冬支援に、毎年UNHCRの統括のもと、多くの機関がブランケット、ヒーター、衣服などの救援物資を難民に配布しています。
このプログラムの一環として、JENは2012年、2013年の冬に、ザータリ難民キャンプに住む難民全員を対象に、ユニクロをはじめ、多くの団体から寄付された冬服を配布しました。2回の衣料配布を通して、JENは合計15万人以上の難民に、衣料セットを配る事ができました。
この冬服配布は、テントや仮設住宅のような過酷な状況下で暮らす難民から、暖かく生活できると、とても喜ばれています。

JENは今年、4月に新しく運営を開始したアズラック難民キャンプで衣料配布を行うべく、UNHCRや他の関連団体と計画をたてています。そのため、先日JENスタッフは初めてアズラック難民キャンプを訪問しました。

こちらがアズラックキャンプです:

【仮設住宅が立ち並ぶアズラック難民キャンプ.】
141002 ①キャンプ
アズラック難民キャンプは、ザータリ難民キャンプの住民数がキャパシティに達してしまったため、新規難民を受け入れるべく、今年4月30日に正式に運営を開始しました。UNHCRの正式なデータによると、キャンプの面積は約15平方キロメートルで、約13万人の難民を受け入れるキャパシティがあります。ここに、現在14000人以上の難民が生活しています。

アズラックキャンプはアンマンから90km離れた砂漠の真ん中に位置するため、ここに住む難民は厳しい天候の中での生活を強いられています。JENスタッフが訪問をした日もキャンプでは強風が吹き、日影の少ない場所に厳しい陽射しが照り付けていました。

アズラックキャンプはザータリキャンプ運営で得られた様々な学びに基づいて設計されています。両キャンプの大きな違いの一つとして、アズラックに来た新規難民は、ザータリで配布されるようなUNHCRのテントではなく、はじめから建設済みの仮設住宅に住めることが挙げられます。
この仮設住宅が数世帯分集まり「ブロック」と呼ばれる集合体を作り、ブロックごとに女性用と男性用のトイレや水飲み場が設置されています。このようなデザインは、難民自身に自分のブロックの施設管理に主体的に取り組んでもらう事によって、公共設備を管理しない事から生まれる課題を軽減させることを意図しています。

【アズラックキャンプの仮設住宅】
141002 ②仮設住宅
【このようなトイレが各ブロックに設置されています】
141002 ③トイレ
また、アズラックではキャンプの管理においた工夫も見られます。ザータリで盗電が問題になっている事から、アズラックでは電線を張らず、ソーラーパネルを使った外灯を使用しています。

【ソーラーランプによって夜道も安全】
141002 ④ランプ
冬に向け、難民の多大なニーズに対応するため、JENはアズラックの住民全員と、これから来る新規難民に衣料配布を行うため、UNHCRとの話し合いを進めています。JENは、日本の支援でアズラックに住む難民の生活をより住みやすいものにするため日々活動しています。

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ザータリ難民キャンプの位置づけが移行されています

2014.09.18

JENのスタッフとなって働きはじめて2週間足らずですが、ザータリ難民キャンプでの活動を始めて10か月が経っています。ここで活動するのは非常に興味深いです。

このキャンプは、当初の「シリア難民の人々を一時的に受け入れるための緊急シェルター」としての役割から、「シリア難民の人々が再起を図るための住む場所」という位置づけに急激に移行しはじめています。難民の人々は、日に日に、キャンプ中にある自分たちの住処をより快適に住みやすくなるよう工夫を重ねています。多くの改善がなされてはいますが、まだまだ多くの困難や不都合な点、課題が残されています。

難民の人々が自ら問題を解決していけるように、彼らの能力強化を図ったり、仕組みを変えていこうとするJENの支援方法を学ぶことはとても楽しいです。JENは活動を進めていく中で、様々なレベルで様々な人々とのコラボレーションを図っています。こうした協働による活動は、みんなで一丸となって問題に取り組んでいることを実感させるものであり、大変有意義です。

コミュニティに情報を普及させるために、JENがどのようにコミュニティのメンバーを巻き込み、能力強化を図っていくのか、1つの例を取り上げたいと思います。

衛生促進のセッションをJENスタッフ自らがコミュニティの住民に対して行うのではなく、コミュニティのメンバーに知識を伝達して、そのメンバーから住民に対してセッションを行うという形に、方法を変えました。

ザータリ難民キャンプにあるJENチームのリーダーの一人であり、保健分野でのアカデミックなバックグラウンドがあるアマールは、39名のシリア難民を対象に、彼女たちがボランティアとして他の人々に対して衛生促進セッションを提供できるよう、衛生促進員のトレーニングを行いました。JENが衛生促進員の人々に最初にお願いしたのは、彼らのコミュニティにおける食品の安全性に関する知識・情報の普及でした。

私は、アマールが食品の安全性に関する衛生セッションを衛生促進員に対して行っているところを何度か目にしました。そのセッションはとても楽しいものでした。アマールは普段静かでおとなしいのですが、セッションでの彼女はとても生き生きとして、活動的で、目を輝かせながらトレーニングセッションを行っていました。衛生促進員にとってよく知られていない情報や、特によく理解を深めてほしい内容であるときには、その都度、活発な議論を交わせるように努めていました。

セッションが終わる頃、私は、なぜ無償であるにも関わらず、衛生促進員として彼女たちが、衛生に関する知識を普及させる活動をしたいと思っているのか、その理由を知りたいと思いました。そこで、私は彼女たちに、活動に協力してもらえることに感謝を述べつつ、その理由を尋ねました。ある女性は、他の人と何かするのが楽しく、誰かの役に立てることがうれしいと話してくれました。別の女性は、かつて看護師として働いていた経験があり、衛生知識を伝えることはとても大切なことで、他の人々のために彼女の知識や経験を活かしたいと話してくれました。

またこの2週間で、JENがどのようにキャンプ内でインフラを整備しようとしているのか目の当たりにしました。

例えば、詰まりかけている下水のパイプの処理を行う場面に遭遇したときのことです。そのパイプは、下水を公共トイレから汚水タンクに流すために設置されていましたが、適切な傾斜がなかったことが、詰まりの原因であることがわかりました。このような場合、穴を掘ってパイプを取り出し、正しい位置に埋めなおす作業が必要となります。その現場近くに住んでいる地域の人々は、その作業を見て、環境改善のために作業が必要であることを理解し、納得することができていました。

【 詰まりかけた下水パイプの設置作業】
140918 ①fixing sewage line in D5140918 ②inspecting work
他にも、興味深く感じたJENの活動があります。キャンプで活動するJENスタッフとブレーンストーミングしたときのことです。この時の議題は、普段はなかなか私たちの活動に参加してくれない難民の人々をいかに活動に巻き込むかということでした。

セッションの中で、まず私たちはなぜ人々がいつもキャンプで行うプログラムに参加してくれないのかその理由を話し合いました。それから、参加しない人々がどのような人か分類し、そうした人たちがより活動に参加しやすい内容となるプログラムを分類ごとに考えていくことにしました。こうしたセッションはとても楽しくわくわくします!

【 ザータリ難民キャンプでのブレーンストーミングのセッションの様子】
140918 ③Brainstorming
アン・ラパン(プログラムオフィサー)

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