3月の支援速報でご紹介した岩手県の宮古社会福祉協議会が実施する「しおかぜキッチン」をJENは引き続き支援させて頂いています。
7人にひとりのこどもが貧困の日本。特にシングルマザー世帯の貧困率は50%を超えます。
こどもたちが夢をあきらめなくてもいいように、親御さんが困難をひとりでかかえこまなくてもいいように-包容力のある地域づくりの入り口として、「しおかぜキッチン」は毎月、ひとり親、そのこどもたちとボランティア、そして宮古社会福祉協議会のスタッフが集まり、いっしょにご飯をつくる、食べる、楽しい時を過ごす、そして時に困りごとの相談にのる場になっています。
毎月公民館の調理室と和室を借りて開催していますが、8月は夏休みスペシャル版として、かねてより子どもたちからリクエストのあった、野外バーベキューを実施。
あいにくの雨でしたが、みんなで楽しい時を過ごしました。
【スタッフ・ボランティアの皆さんと参加者のママたちがバーベキューのおにぎりを作っています】
【バーベキューの始まりです!おいしそうなお肉にとうもろこし、おにぎりに焼きそばもありました!】
【帰り際も、子どもたちは、まだまだ遊びたい様子で、スタッフやボランティアの大人たちと全力で遊んでいました♪】
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【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
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みなさんは「介護している人」と聞いてどんな人を思い浮かべますか?
「お嫁さん(子の配偶者)」?
「ヘルパー」?
「女性」?
実は介護者で一番多いのは、上記いずれでもなく、同居する配偶者(26.2%)。それに同居する子(21.8%)が続きます。
介護者のうち、男性が占める割合は3人に一人です。
東日本大震災で大きな被害を受けた石巻市では介護認定率は震災前の16.1%(2011年2月)から3年後には、1.3倍の19.0%に上昇しました。
JENは、医療と介護福祉の専門家で構成される任意団体「男の介護教室」とパートナーシップを結び、男性介護者の支援をしています。「男の介護教室」は限られた家事の経験しかなく、孤立しがちな男性介護者のために、介護教室を開催するために震災後に立ち上げられました。
月に1回開催される「教室」は毎回30人ほどの参加者を迎え大盛況。ケアマネージャーが丁寧に男性介護者の方に声をかけ足を運んでもらい、参加者の声をききながらニーズに合ったプログラムを提供しています。教室では介護の基礎知識、技術の習得はもちろん、参加者同士が互いに日頃の悩みなどを相談できる環境作りや、専門職や医療従事者とのネットワークづくりを心がけています。
今までの主なプログラムは以下の通り。
今年は石巻の「男の介護教室」の経験と学びを東北の介護福祉や医療の専門家と共有するための、9月に宮城沿岸でシンポジウムを予定しています。
詳細決まりましたらお知らせします。
・介護食の作り方
・簡単料理の作り方(パッククッキング、レトルトを使用した料理等)
・摂食嚥下(せっしょくえんげ)に関する勉強会
・口腔ケアについての勉強会
・熱中症とその対策についての勉強会
・インフルエンザ、胃腸炎の予防と対応についての勉強会
・認知症についての勉強会
・褥瘡(じょくそう/とこずれ)予防についての勉強会
・救急救命研修
・介護技術についての勉強会(おむつ交換、食事介助、移乗等)
・介護者の健康づくり
・介護者のストレス軽減のための陶芸教室
・参加者の意見交換、参加者同士の親睦を図る目的のグループワーク
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【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
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今「こども食堂」が全国でブームです。
栄養バランスの整った食事を毎日得られない、習い事や塾に通えない、進学をあきらめなければならない・・6人にひとりの子どもが貧困にあるなか、日々の生活と未来への選択肢を閉ざされる現状をなんとかしたいと思う方々が多いなかでの行動力の現れでしょう。
【こどもたちもお料理を手伝います】
一方で、「こどもの貧困」の原因に目を向けると、構造的な問題が見えてきます。「こどもの貧困」の多くは「世帯の貧困」であり、世帯単位で見ていくと、全国世のひとり親世帯の大半(母子世帯で8割、父子世帯で9割)が仕事をしているにもかかわらず、貧困率が5割と突出しています。
JENがこども食堂2か所を支援する岩手県の調査では、母子家庭の母の就労収入は 10 万円以上 15 万円未満が 40.7%と最も多くなっており、東日本大震災の被害がとりわけ甚大だった沿岸部の収入はさらに低くなっています。
今の社会のしくみが「親がふたりいる家庭の男性働き手モデル」を前提としており、ひとり親の場合他に頼れる人がいなければ、残業ができず、正規の職に就くことは難しい、女性が就く仕事の多くは賃金が低い、他の先進国と比べて、政策におけるひとり親支援が手薄いなどの課題が山積しています。
【栄養のバランスを考えたメニューです】
子どもの未来は社会の未来、被災地では復興の未来です。
社会的、政策的課題の根本から正していくことが必要ですが、草の根からもできることがあります。ひとつは子どもやひとり親など孤立しがちな方々を地域で包摂する民間の仕組みをつくること。そして、様々な公・民の支援や制度につなげていくことです。JENは、こうした目標を念頭に「子ども」だけを対象とした場ではなく、子どもと、主にひとり親世帯を対象とした次の活動を地元のパートナー団体を通して支援しています。
1.インクルこども食堂(盛岡)
盛岡のNPO、インクルいわての実施を支援しています。先行事例の視察を含む事業計画づくり支援、2016年1月の開設から12月までの月次開催の資金的支援、外部評価を支援してきました。12月でJENの支援は終了しましたが、行政や民間の資金を得て、現在は岩手県でも有名なこども食堂のひとつとして活動しています。
JENの1年間の支援の集大成として、3/11にはシンポジウムを開催しました。外部評価報告書は近日JENのWEBサイトで公開予定です。
【インクルこども食堂(©インクルいわて・撮影 古里裕美)】
2.しおかぜキッチン(宮古市)
宮古社会福祉協議会が2016年12月から毎月1回開催しています。ひとり親世帯を主な対象としているインクルいわてのこども食堂をモデルとし、盛岡や宮古で研修を重ねつつ、地域の力を活かすしくみをつくりあげています。JENは2017年も「しおかぜキッチン」の支援を継続します。
【おいしいシチューのできあがり】
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政府の資料では「課題先進地域」と表現されるとおり被災地では震災によって悪化、または顕在化した課題があります。
● 震災後に急速に進んだ少子高齢化
● 離れて暮らさなければならなくなった家族
● 貧困や孤立の問題
● 安定した雇用の場の少なさ など
地域の力と当事者の方々の力を信じ、震災前になかったような先進的な方法で、こうした課題に真正面から取り組む岩手県、宮城県、福島県の7つの団体とJENはパートナーシップを組み、これらの団体実施する事業を資金面、技術面で支援するかたちで東北事業を実施しています。
一般的なドナー団体と違って、JENは以下のようにそれぞれのプロジェクトに深くかかわります。
「誰も取り残されない復興」というビジョンを共有したうえで:
(1)事業づくりに際し一緒に考えます。
(2)モニタリングや評価をサポートします。
(3)必要に応じて、パートナー団体の実施力を強化するカスタムメイドの研修やネットワーク作りを支援します。
JEN東北事業のパートナー一覧
2016年11月14・15日に、JENは東北事業パートナーミーティングを岩手県一関市で開催し、はじめてパートナー団体同士が一堂に介し、各団体の知見を共有、組織運営や事業運営の合同研修を行いました。
【一堂に会してのJEN東北事業のパートナー団体のみなさん】
【楽しく、でも真剣にチームビルディング中です】
JENのパートナー団体の対象は、それぞれ赤ちゃんから高齢者まで多様ですが、根底で、誰一人取り残されない社会を創るということ、そして当事者の方々と地域の力を信じる点で共通していることから、知見の共有に関してパートナー団体から、
「自団体にない視点があり、連携可能性が見えた。新しい地域課題への気づきも得た。」
「一見関係ないと思われる事業でも、誰も取り残されない社会に向かっての活動であることを知り、自分たちも頑張らなければと思う。モチベーションが高くなる。」
といった意見が出ました。
また、JENが計画段階からJENがかかわることで事業の必要性が明確になった、成果・指標が明確化になった、連携先が広がった、というコメントも頂きました。
パートナー団体とJENの力をあわせて、1(パートナ団体)+1(JEN)=2を目指すのではなく、地域の力を活かしたり、政策提言を通じて、「誰も取り残されない社会」に向けた政策や社会のしくみを提案していくことで、1+1=∞(無限大)を目指して事業のインパクトを高めていくために、JENの役割を果たしていきたいと思います。
【参加者全員で集合写真】
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【JENでは、皆様からのご寄付を受け付けています。ご協力をよろしくお願いします。
ご寄付は、こちらから受け付けております】
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調理室では女性たちが和気あいあいと包丁を握り、その様子を、「さらし」で高い位置におんぶされた赤ちゃんがのぞき込んでいます。
ここは福島県助産師会が実施する、乳幼児からの食育体験の会場です。
【初めての晒おんぶ】 Photo:© 一般社団法人 福島県助産師会
赤ちゃんの離乳食を難しく考えず、赤ちゃんをおんぶしながら家族の食事をつくる方法を学びます。また、
・月齢にあったメニュー
・ミルク・母乳は好きなだけあげて良い
・アレルギーに過度に心配しなくてよい
・バランスよく食べさせることが大事
など、お母さんが日頃から疑問に思っていることも学べます。
【栄養士による説明】 Photo: © 一般社団法人 福島県助産師会
2016年6月から、JENは一般社団法人 福島県助産師会をパートナーとして、「助産師による妊産婦包括支援」事業の支援を開始しています。
福島県助産師会は、震災後に多く寄せられた相談から、たくさんのお母さんが赤ちゃんを育てることに不安を抱えているイことを知りました。
離乳食の作り方を学ぶこと、泣く赤ちゃんをおいたままにしなくても良い、おんぶしながらの料理を体験することで、不安が軽減されること、自分を肯定し、自信を持つことにつながると考え、地域の栄養士と合同でこのプログラムを実施しています。
そしてもう一つ大切なことはお母さんたちが地域とつながること。
【参加者全員と赤ちゃんと一緒の食事】 Photo: © 一般社団法人 福島県助産師会
参加者の方々からは
「助産師の方々に相談できて、不安なこと、悩んでいたことが解消できた」
「他のママと情報交換ができた」
という声が届いています。
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