東北支援速報

「インクルーシブ防災」とは?~福島県いわき市

2018.05.31

JENはいわき市において、パートナー団体とともに、障がい当事者の方や、こどもも含む「誰一人取り残されない防災」に取り組んでいます。

東日本大震災では、震災で亡くなった人の6割以上が60歳以上の高齢者、さらに障がいのある人の死亡率は、住民全体の2倍でした。
熊本地震では、災害後の過酷な避難生活などによる「災害関連死」により200人以上が亡くなり、その多くが既往症を持つ高齢者でした。

一方で、被災地で障がい当事者や、女性、高齢者の介護経験のある方が、地域防災を担う方々と共にリーダーとして活躍した地域があります。そのような地域では、生活者の知恵と力がフルに活かされ、避難誘導が上手にできています。避難生活でも避難所運営や在宅で避難する人への情報や物資の提供がスムーズに行ったケースが多く報告されています。
こうした多様なリーダーの活躍の背景には、普段からの地域のつながりが欠かせません。

国際会議等では防災にとりくむ障がい当事者の方々の力により「インクルーシブ防災」という言葉がここ数年かなり広まりました。インクルーシブとは「包摂的な」という意味で、次の4つの要素が重要とされています。

1.多様性が認識されていること: ひとりひとりの障がい、性別、年代等によって、災害の影響は様々です。こうした多様性が、まわりの人たちに理解されていることを指します。

2.安全であること:多様性の認識に基づいて災害時とその後の安全が確保されていることをいいます。たとえば、車いすの方も、目の見えない方も、安全な避難行動ができる工夫がされているか、といったことです。

3意思決定過程に入っていること: 多様性やどのような方法が安全なのかを一番わかるのは当事者の方々です。障害当事者の方が意思決定に入っていることが重要です。

4.意思決定へのバリアフリーが確保されているか:意思決定に参加する過程にあり得る障がいがきちんと除去されていなければ意思決定への参加自体が不可能です。たとえば、聴覚障がいの人のために手話通訳がいること、車いすの人でも入れる会議室になっているか、といったことです。

これからいわき市での取り組みを順次紹介して参ります。
どうぞお楽しみに!

 


「災害時の要配慮者支援を考える学習会」in 福島県いわき市

2017.12.28

2017年12月20日、福島県のいわき市にて、「災害時の要配慮者支援を考える学習会~高齢者・障がい者・子どもなどの観点から~」が、はぐくみ防災サポーターズいわきと、JENのパートナー団体である減災と男女参画研修推進センター(GDRR)の共催により開催されました。

目的は、「災害時の要配慮者支援のあり方について当事者や支援関係者がともに学び、今後のいわきでの対策を考える機会を作ること」。

市議会議員や市の職員、防災に関心・関連のある他種多様な方々が参加されました。参加者は総勢90人を超え、関心の高さが窺えました。

第一部では、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の北村弥生先生による講演が行われました。支援する側の体制作りに加え、要配慮者やその家族も、平常時から災害時の生活や対応について準備し、情報を発信することが重要であると述べられました。また、要配慮者と支援者が一緒に災害時の対応を考える「避難所運営ゲーム」の事例を紹介されました。

【みなさん講演に真剣に耳を傾けていました】
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第二部は、ワークショップ。各グループで要配慮者自身またはその家族として、災害時にどのように動くか、その際の課題や解決方法について活発に意見が出されました。

【会場には手話通訳の方もいらっしゃり、聴覚障がいのある方も積極的に意見を出していました】
2017.12.20_GDRR勉強会- 053
参加者からは、「システムは作るだけではいざという時にうまく機能しない。日頃の訓練と、顔の見える関係づくりが大事だ」という言葉が多く聞かれ、災害時にも要配慮者が安心して避難できる環境作りへの意欲が感じられる会となりました。

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東北の若手女性リーダーが集結!

2017.11.16

2017.10.27-29
岩手県盛岡市、緑豊かな美しい庭園が印象的な「南昌荘」に、東北の被災各地で活躍する若手女性約20人が集まりました。活動分野は子育て支援、学習支援、まちづくり等多岐にわたりますが、被災地の社会課題に取り組む点では共通しています。

 【東北の若手女性リーダーが集結!】
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 東日本大震災の被害が深刻な岩手・宮城・福島の沿岸部の多くの自治体では、若者の域外への移動が著しく、少子高齢化が加速しています。一方で、震災を機に多くの若者が「地域のために何かしたい!」と被災地に帰郷(Uターン)や移住(Iターン)して活動したり、地元の若者たちも様々な形で復興をはじめ地域の課題に挑戦していますが、組織運営や、持続的な活動の在り方等、様々な課題に直面しています。そのなかで女性、とりわけ若い女性は、地域のしくみのなかで活躍の場が無かったり、研修機会が無かったりすることから、試行錯誤しながら孤軍奮闘になりがちです。

 「グラスルーツ・アカデミー東北in岩手」は、このように被災地域で活動する20~30代の女性が、より積極的に地域で活躍できるようリーダーシップを強化し、活動や想いを発信する力を得て、地域の様々な機関や人との連携の輪を広げることを目的とする研修合宿です。

主催したのは、宮城県南三陸町を拠点に被災地各地で活動する特定非営利活動法人 ウィメンズアイ。

このイベントにおいて、JENはプログラムの企画支援、資金提供等、全面的にバックアップしています。

 ウィメンズアイの活動紹介はこちら

1日目は岩手県盛岡市「南昌荘」で、チームビルディング研修を行いました。

チームで知恵を出し合い、力を合わせて目標を達成する体感型研修をとおして、

仲間を信頼すること、失敗しても責めない温かい雰囲気を創ること、対等な関係で取り組むこと、高い目標を設定することの大切さなど、実際に日々の活動の中で取り入れることができる教訓を得ました。

 【体感型研修で得られた教訓を書き出してチームの仲間と振り返りをしました】
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2日目は参加者の活動紹介です。ご自身の活動概要や活動の目的、課題に感じていることなどを、わかりやすく相手に伝えるためのプレゼンテーション研修をしました。

参加者ひとりひとりが本音で語り、組織運営や地域での関係づくり等、様々な課題を挙げ、そして解決策も出し合う、力みなぎる場となりました。

 【1人の活動紹介に3人以上の参加者が聞き手となって参加し、質疑応答も盛り上がりました】
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3日目は、花巻市に移動し出産後のママの産後ケアハウスを運営する「まんまるママいわて」を訪問し、組織づくりや、苦労と実りを本音で伺いました。

【「まんまるママいわて」訪問の様子】
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「グラスルーツ・アカデミーin岩手」での出会いは、多様な活動に取り組む地域の若手女性リーダーの皆さんにとって、お互いに良い刺激となり、今後のより幅広い活動につながるネットワークも生まれました。この研修合宿で力をつけた若手女性リーダーの皆さんの、今後のさらなる活躍が期待されます!

 【南昌荘での集合写真】
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写真提供:(特非)ウィメンズアイ

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東北パートナーミーティング2017開催

2017.10.26

普段は別々の地域で活動するJENの東北事業のパートナー7団体が一堂に介する年に一度のイベント「東北パートナーミーティング」を、今年も2017年10月3~4日に宮城県にある新幹線の駅・くりこま高原近くの宿泊・会議施設「エポカ」で開催しました。

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JENのパートナー団体は、活動テーマはちがっていても、ひとつ大きく共通するビジョンがあります。それは「誰も取り残さない復興」。
1日目はパートナー団体がリレートークを行い、情報共有。

専門家の集団でありながら、地域に密着して、対象となる方の関係性をひろげる活動を行う
・男の介護教室: ケアマネージャー、歯科関係者、医師、栄養士などが行う男性介護者の支援(宮城県石巻市)
・福島県助産師会: 助産師が行う母子の支援と、医師や栄養士、保育関係者などの多職種連携の推進により、母乳育児や離乳食期をサポートする活動(福島県全域)
・減災と男女共同参画研修推進センター:母子や障がいとともに生きる人が取り残されない防災を推進する(福島県いわき市)

ひとり親家庭を中心とした親子の居場所・地域力の結集の場としての「こども食堂」を実施する
・宮古市社会福祉協議会 (岩手県宮古市)
・インクルいわて(岩手県盛岡市)

地域の未来のカギを握る方々の地域づくりへの参画を推進する
・SAVE TAKATA: 中高生によりまちづくりとおとなとのチームワーク推進 (岩手県陸前高田市)
・ウィメンズアイ: 若手女性が地域で活躍するためのエンパワメントのサポート(岩手県、宮城県、福島県)

夜の懇親会では、相互訪問の約束やコラボプロジェクトなど、様々な化学反応が起こっていました。

1日目の午後から2日目の夕方までは、「社会を変える組織」をつくるをミッションに掲げる、非営利組織マーケティングの専門のシンクタンク、(株)PubliCoの代表取締役 長浜 洋二氏による、マーケティング研修を実施。

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JENとのパートナーシップも折り返し地点に入り、あと1年半ほどで各団体の自走による事業の発展・継続が求められる中(*)、マーケティングの視点から、どのように事業の質を高めながら支援者や参加者を得ていくのかについて、講義と演習を交えて学ぶことができ、次の一歩への大きな力になりました。

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*インクルいわては既にJENの資金面での支援は終了していますが、事業内容面での交流やサポートを続けています。

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東北の若手女性のパワーが集結

2016.08.18

JR郡山駅から車で30分、里山の美しい自然に囲まれた、古民家「くらしの学校 蓮笑庵」に、東北の被災各地で活動する、19歳から41歳までの女性約20人が集結しました。
活動分野は子育て支援、学習支援、防災、まちづくり、起業支援、ワークライフバランス等、多岐にわたりますが、被災地の社会課題に取り組む点では共通しています。

参加者ひとりひとりが本音で語り、事業実施や組織運営、地域での関係づくり等、様々な課題を持ち寄り、そして解決策も出し合う、力みなぎる場となりました。

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被災地支援に携わる若手女性の研修合宿「グラスルーツ・アカデミー東北 in 福島」を主催したのは、宮城県登米市を拠点に被災地各地で活動する特定非営利活動法人 ウィメンズアイ。
このイベントにおいて、JENはプログラムの企画支援、資金提供、この合宿後のフォローアップ支援等、全面的にバックアップしています。

 ウィメンズアイの活動紹介はこちら

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 ジェンダーの専門家の大崎麻子氏がプログラムの企画支援と2日目の講師・ファシリテーターを担いました。

 なぜ今、若手女性の連携強化と研修が必要なのでしょうか。

 それには被災地の現状が深く関連しています。

被災地外から来た多くのNPO/NGOが去った今、NPOやソーシャルビジネスなどの形で復興を支えているのは地域で暮らす方々です。元から地元に暮らす方、故郷の危機を目の当たりにしてUターンで戻った人、他県から支援活動に入り、その後被災地に移住した人など様々で、多くの若い女性も含まれます。

 震災から5年経った今、地域の復興を担うひとたちは、組織運営や、持続的な活動の在り方等、様々な課題に直面しています。そのなかで女性、とりわけ若い女性は、地域のしくみのなかで活躍の場が無かったり、研修機会が無かったりすることから、試行錯誤しながら孤軍奮闘になりがちです。

また、10代~40代の女性はライフステージが目まぐるしく変るため、取り組みを継続していくことは容易ではありません。

地域の再生を新しいやり方で牽引する若手女性リーダーたちが横につながり、お互いを連携して助け合えるネットワークが益々重要となっている現在、「グラスルーツ・アカデミー」の開催は参加者たちの大きな力となりました。

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(©ウィメンズアイ)

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