JENの対談企画 Mimosa Talk // #4 岸本幸子さん×木山啓子| 003

ミモザトーク|2017.09.04

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#3 遺言で「人生に感謝する」 

—岸本さんの活動の原点はどんな事なんですか?

岸本:1996年から99年までニューヨークでファンドレイジングの勉強をしていた時に、『ニューヨーク・コミュニティ・トラスト』という全米最大のコミュニティ財団に出会い、ここでフェローをしていました。

アメリカでは、相続や遺言などの際のお金をもとに社会貢献をしようと、個人が基金を作ることがよくあります。その財団は個人が基金を創ることを、税制優遇や支援先選定などの面でサポートしています。

基金のテーマは多様で、その財団の中に入ると、壁一面にこんなリーフレットがずらーっと、ものすごい数が並んでいるんです。(写真)このリーフレットは、ニューヨーク市民が自分の資産をニューヨークの未来のために、そして自分の、一人ひとりのこだわりを持って作った基金のリーフレットなんです。IMG_2221

どんな基金があるかと言えば、例えば、貧困地域の学校では財政難から音楽の授業がない事があります。音楽教師として生きてきた女性がそれに心をいため、「遺産を恵まれない地域の音楽教育に使って欲しい」と作った基金や、メトロポリタンミュージアムが大好きだった女性が「ずっとエントランスに生のお花を飾って欲しい」という遺言の元、お花を飾り続ける為の基金など…様々な基金がありました。

一人ひとりの志や知恵が『ニューヨーク』という街をある種作っていると感じました。それにすごく感動しました。作りたかった未来が遺贈の様なかたちで、NPOや社会企業家を通して、実現することで、一人ひとりの人生が完結するような気がしたんです。

例えば、コツコツ真面目に働き、会社に貢献し、家を建て、妻子を養ってきたお父さんが、次の未来を創る基金を遺していったとします。すると、子、孫に至るまで、「おじいちゃん偉かったんだね」って語り継がれる。その人の『生きた証』を次の世代で生かせる。そして、この取組みを私たちの財団でも展開しています。

でも、皆さんには、大ごとに考えないで欲しいんですよね。私がお伝えメッセージは「遺言書こう」です。別に遺贈寄付が大きなお金である必要はないんです。1万円でも3万円でも、5万円でもいいんです。是非、遺言を書いて「人生に感謝する」「家族に感謝して良い人生だったよ」というメッセージとともに遺贈する。子どもたちの未来のためにはやっぱり、大きい意味での支えあいが大切だと思うんです。

木山:「人生に感謝する」ってすごくいい言葉ですね。

(敬称略)

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岸本幸子|きしもと さちこ

パブリックリソース財団専務理事

東京生まれ。シンクタンク勤務、留学を経て、2000年パブリックリソースセンター(現組織の前身)、2013年現財団を創設。寄付文化の刷新を目指し、個人や企業が社会貢献活動を行う際のコンサルティングや実施支援、NPOの寄付適格性評価、社会的活動のインパクト評価などに携わっている。共著に「寄付白書2015」他。
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