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山口 一男 アーカイブ

ご挨拶

2008年05月26日 16:36 | | 2 Comments | 山口 一男

   こんにちは、山口一男です。みなさまのお仲間になれたこと、またChabo!のメンバーとして発信していけること、木山さんのJENの活動に間接的に関与できることを心から喜んでいます。
   勝間さんのムギ畑の活動には市民社会の新しいあり方の素晴らしい例として強く関心を持っていました。その勝間さんが今度Chabo!という読書推進とCharityを結びつける市民社会の新しい試みをすると聞いて、是非参加したいと思いました。
  私は今年4月に編著『論争 日本のワーク・ライフ・バランス』を日本経済新聞出版社からだしましたが、こちらは印税が編者を含む執筆者10人の均等分配なので、残念ならがChabo!参加はできません。
  この本とは別に、私は東洋経済新報社から今年7月に『ダイバーシティ:生きる力を学ぶ物語』という本を出版し、これは単独著なので、この本からChabo!に参加します。これは、自分で言うのも変だけれど毛色の変わった文学と社会科学を融合の本です。本は『六つボタンのミナとカズの魔法使い―社会科学的ファンタジー』『ライオンと鼠―教育劇日米規範文化比較論』という2つの空想物語からなっています。森妙子さんというアーティストが素晴らしい挿絵を描いてくださっているのが自慢です。「ダイバーシティ」というのは人々の多様性に価値を置く社会のあり方を意味しますが、日本ではこの言葉の認知度が未だ低いため「豊かな個性は価値の創出の泉」という訳を(フォントを落として)カバーでつけています。二つの物語は、一つめの話がダイバーシティが個人にとって生きる力を学ぶ上で持つ意味を、二つめの話が、ダイバーシティが社会に活力と価値の創出を生む上で持つ意味を、明らかにしようとしています。読者が、経済と社会について、そしてその中における「自分」について、誰もが日常目にしていながら、そうとは気づかない何かに気づくようになれることで、生きる力を学べるようにしたいと考え、私が自分の人生観と専門家としての知識の総力を込めて創った物語です。興味さえ持っていただければ、つまづくことなく読み進められるよう、涙も笑いも冒険もあるストーリーを、個性豊かなキャラクターと、平易な文章で描こうとしています。物語に秘めた社会科学的「小道具」である「アイデンティティ」「囚人のジレンマ」「共有地の悲劇」「予言の自己成就」「自由と規範」などの多くの概念やそのメカニズムについては物語とは別の追加の「解説」で、現代日本社会でなぜこれらのことが重要なのかも、実例を述べながら、わかりやすく説明しています(そのつもりです)。ということで、自己紹介は本の宣伝となりましたが、今後Chabo!参加のおかげで、皆様と交流できることをとても楽しみにしています。 どうぞよろしく。

いよいよ発売

2008年07月10日 13:02 | | 0 Comments | 山口 一男

  私のChabo!参加本『ダイバーシティ:生きる力を学ぶ物語』がいよいよ明日から発売されることになりました(地域によっては14日となるそうです)。岩井克人氏に本の帯の推薦文、ポップに勝間和代さんの推薦文をいただくという、大変な幸運に恵まれ、いよいよ羽ばたき開始です。うまく飛べるといいのだけれど、ともう親の心境です。表紙は森妙子さんの挿絵を生かした素敵なデザインです。本屋さんで見かけたら手にとってみてください。ここに表紙のコピーをアップロードできるか試してみますがうまくいかないときは、アマゾンの広告で観てみてください。

  私はベストセラー著者の他のメンバーの方々と違い、自分の本の販売ではとても皆様のような貢献は無理ですが、講演の機会などにChabo!のことに言及して行こうと思います。幸い7月は今日10日にお茶の水大学の公開講座で「ワーク・ライフ・バランスに今何が必要か」の話、15日は日本サービス・流通連合労働組合連合(JSD)の男女共同参画推進室主催の講演会で「男女賃金格差解消への道筋」の話、24日は東京大学社会学科主催で「男女の経済的不平等の不合理性とダイバーシティ」の話と続いているので、そこでChabo!やJENのことも「宣伝」していくつもりです。  

『ダイバーシティ:生きる力を学ぶ物語』の表紙

2008年07月10日 13:17 | | 0 Comments | 山口 一男

Diversity.jpg


あるChabo!支援者のブログ

2008年07月18日 15:55 | | 1 Comments | 山口 一男

  今日はちょっと「えふの記録」
http://kaerukaeru999qqq.cocolog-nifty.com/
というブログを書いている「えふ」さんというブロガーについて紹介させてください。このブログのことを知ったのは最近私の『ダイバーシティ』について、優れた感想(書評)を書いてくださったからです。


  「えふ」さんのブログを覗くとChabo!ロゴがまず目に飛び込んできます。Chabo!を応援してくださっていることがわかります。


  ブログには勝間さんの最近の言動、例えば近著「七つのフレーム・ワーク力」やTBS対談の内容など、について情報の豊富な記事(6月19日から21日)もあります。TBS対談では勝間さんの移民政策に対する考えが紹介され、『フレームワーク力』からは例えば失敗の分類(良い失敗1種と悪い失敗3種)などが紹介されています。


 実は私は日本企業の意思決定(特に人事)は「作為の誤りのコストを過大評価し不作為の誤りのコストを過小評価する」傾向があると『論争 日本のワーク・ライフ・バランス』で論じているのですが、ここで私のいった「作為の誤り」が勝間さんのいう「良い失敗」に、「不作為の誤り」が「悪い失敗のタイプ3」にほぼ対応していることを知りました。


 日本企業(特に減点主義的評価が支配する部門では)良い失敗が罰せられ、悪い失敗が大目に見られるという非合理的構造があるように思います。もちろんアメリカは減点主義と逆の得点主義なので、良い失敗(意図は良かったが空振りの三振に終わった)は寛容に評価され、悪い失敗(良い球を見送って三振した)は否定的に評価されるという合理的な判断になります。

  私は勝間さんは失敗のタイプと評価についてより広くかつわかりやすく説明していると思いました。勝間さんの本は、この近著でも、これまでの本例えば時間投資法の本でも、合理主義と、ポジティブ思考の大切さ、をわかりやすく具体的に説明しているのが、一つの大きな魅力なのですが、えふさんの記事は、その特徴をうまくとらえ魅力を伝えていると思いました。


   『ダイバーシティ』の前半の『六つボタンのミナとカズの魔法使い』について「えふ」さんは、以下のように記しています。


  「ファンタジーは、なかなか楽しめた。ミナという若い女性の冒険物語とでも言うのだろうか。ミナは航海士になり、ひとりで魔法使いカズのいる島に出かけていく。島についたら、場所場所に関門があって、選択を間違うとカズには会えないかもしれない。その困難を乗り越えていく話だ。


 その話の中に、社会学理論や論理学など社会科学の知識が織り込まれている。ミナは、島の住民の謎かけを論理的に解きながらカズのいる城に向かって道を進んでいく。


 普段、ファンタジーを読むことはほぼない。よって、このファンタジーが『ファンタジーとしてどうか』については、私にはわからない。しかし、旅の途中でのミナの心情には非常に共感できる部分がある。これは、私がミナに近いというようなことではなく、おそらく、この物語がもつ普遍性のためではないかと思う。それらは、社会学のテーマにもなっている。ミナの、人と違う自分のとらえ方、親に対する思い、孤独はどういう構造をもつものか、などなど、深く考えさせられることが多く、ミナの悲しみの描写には身につまされるものもあった。


 このファンタジーは、ダイバーシティの重要さについて、ミナがわかることで、読者である私たちにもそれを教える。非常に論理的なファンタジーだと思う。」

 
  著者である私自身が、この評をどう思うかについては記しませんが、こういう読み方をしてくださった読者がいたことを、大変嬉しく思ったことは記したいと思います。


  「えふ」さんのブログを(選択的に)読んで何よりも思ったのは、Chabo!はこういう素晴らしい読者層に支えられているということです。またこういう読者の声が著者にインターネットを通じて伝わるいうのも昔は考えられなかったことで、現在は読者と著者の距離は確実に小さくなったとの思いを持ちました。