パキスタン
Pakistan

事業期間:2005年10月〜

活動地:ハイバル・パフトゥンハー(KP)州
シンド州タールパーカー県及びKP州DIカーン県

ハイバル・パフトゥンハー(KP)州の害虫被害の最も影響を受けた3県の農民に対する害虫駆除・監視・管理を中心とした生計基盤支援事業(2020年7月~)

事前ニーズ調査時のバッタの様子
事前ニーズ調査時のバッタの様子

事前ニーズ調査時のバッタの様子
事前ニーズ調査時のバッタの様子

背景

2020年初め、パキスタンでも一部地域で深刻な害虫被害を受けました。特にKP州DI カーン県とシンド州のタールパーカー県(2020年年9月時点でバッタの大群が襲来し、大きな被害が出ている)は、駆除が急務であった。また気候風土の観点から再度の襲撃の可能性が高いと言われている。また、政府機関の駆除作戦の対象とならなかった牧草地でも、甚大な被害を被ったことが判明しました。この牧草地にある畜産農家は基本的に放牧をしており、家畜の食糧は放牧地の牧草に頼っている。そのため、牧草の不足により家畜がやせ、病気にもかかり易くなり、畜産農家の困窮度合いが増しています。

概要

KP州3県(ラッキーマーワット、タンク、D.I.カーン県)からバッタの移動の変更に伴い、DI カーン県のみを残し、シンド州タールパーカー県を加えた2県を対象とし、害虫被害の影響を受けた農民に、必要な資材の提供および害虫に対する早期警戒メカニズム1を創設し、地域による作物被害を抑制するようにします。同時に、害虫被害を受けた畜産農家への緊急支援により、失われた彼らの生計の立て直しの基盤形成を行っています。

事業内容

害虫駆除用の必要資材の配布及び合同害虫駆除の実施
●裨益者を特定の上、バッタ防除グループを形成し、対象農地の選定を行う。
●バッタ防除グループのメンバー及び政府機関職員に対する害虫駆除の研修を行い、薬剤の噴霧機材、防護用品(マスク、手袋、眼鏡、帽子)の配布の上、現場での害虫監視訓練を行う。
●バッタ防除グループおよび政府機関による平地及び丘陵地での合同害虫駆除を実施する。

害虫に対する早期警戒メカニズムの創設及び監視・制御の仕組み強化
●早期警戒メカニズム等に関する研修を行い、現場での害虫監視訓練を行う。
●事業後の持続性確保のため、当団体の県調整役による農業局のバッタ制御室での情報集積作業と作業継承を行う。
●全コンポーネントの内容を含むIEC(情報、教育、コミュニケーション)資料[1]も関係者及びLCGメンバーに供与の上、一部の活動時間内で啓発活動を実施する。

コンポーネント3:害虫被害を受けた畜産農家への緊急支援
●KP州DIカーン県の害虫被害にあった2つの町(Union Council、以下UC)およびシンド州タールパーカー県の4つのUCを対象とし、害虫被害を受け特に困窮し緊急支援を必要としている貧しい畜産農家を特定する。
●同時に、家畜局と連携して当コンポーネントを推進する家畜アシスタントを3人招聘する。家畜アシスタント3人(D.Iカーン県1人、タールパーカー県2人)は、テクニカルスタッフとして広範囲にわたり、対象4,100世帯が保有する小型家畜(20,500頭)および大型家畜(4,100頭)の予防接種を行う。合わせて、害虫被害によって体力が低下し病気にかかりやすくなった家畜に、寄生虫の駆虫処置も行う。
●畜産農家4,100世帯を対象に、1世帯につき以下の飼料を配布する。今回特に深刻な害虫被害を受けた畜産農家を対象に、家畜の健康管理啓発セッションを実施する。

早期警戒メカニズムの補足説明
FAOが主導する携帯を使用した監視のアプリに、写真や情報を送信し、FAOはこの情報を気象データ、生息地のデータ、そして衛星データと合わせて分析・評価の上、(最大6週間前までに)予測を提供し、暫定警告を発します。
http://www.fao.org/japan/portal-sites/desert-locust/desert-locust-qa/en/

トラックの上の配布用家畜飼料
トラックの上の配布用家畜飼料

害虫被害を受けた家畜農家に、家畜用飼料配布時の様子
害虫被害を受けた家畜農家に、家畜用飼料配布時の様子

※本事業は、ジャパン・プラットフォームからの助成金やジェンへの寄付金により実施しています。

KP州クラム県サルパク女子中学校の修学環境改善支援(2020年10月~2021年2月)

背景

JENはクラム管区において、水と衛生の環境を整える活動を行っています。それと同時に、JENがどのような活動を行うことが、この地域の再生につながるかということを地域の方々と一緒に検討し、調査しました。
クラム管区の識字率は全体で約33%と低く、女性は約13%という状況です。[1] 識字率がパキスタンの他の地区よりも低いのは、テロや紛争などにより建物が破壊され、女子生徒たちが勉強する環境がうまく整えられていないという現状があるからです。宗教的な慣習のために学校に通えない女の子たちも多数います。女性の識字率が高いこと、つまり教育を受けることと人々の生活状態の向上との関連性は、様々な研究によっても指摘されています。[2]

事業内容

グルザラ・サルパク女子中学校(パキスタンで10歳~12歳が通う)はパキスタンクラム管区地域周辺の15の村から生徒が集まっている唯一の女子中学校です。しかしこの女子中学校は、女の子が安心して通うには設備が不十分です。JENは先生方とミーティングを重ね、以下の4つの対策が女生徒たちに必要であるという結果になりました。これらには多額の費用がかかりますが、生徒の親の経済状況は悪く、政府の支援もなかなか届かず、今回の支援が重要となっています。このプロジェクトは主に設備を整え、周囲の環境を改善することで女子生徒が学び易い環境をつくるもので、識字率の向上や教育の質に良い影響を与えることを目指します。

損傷した排水管でひび割れた校庭
損傷した排水管でひび割れた校庭

外部から教師多雨の様子が見える
外部から教室内の様子が見える

実施報告

本事業では女子中学校の環境を改善(外壁2の増設・排水システムの修理)、遊具や書籍を供与することで、学生たち149人が安心・安全に学べる環境整備を行いました。この事業はクラウドファンディングを通してご寄付・応援してくださった支援者のみなさまのおかげです。ありがとうございます。

改修された外壁
改修された外壁

学校の外から学校の様子が見えなくなりました
学校の外から学校の様子が見えなくなりました

2020年10月から準備に入り、10月中に物資を集め、11月過ぎから建設が始まりました。
作業工程は、主に以下の通りです。

①最初に外壁の調査・分析、見積を準備

②業者との契約

③外壁の修復

④排水システムの修復

⑤ブランコなど遊具を設置

⑥校舎に図書館作った後に、書籍を設置

⑦学校へ管理の引き渡し

図書室に本が並べられました
図書室に本が並べられました

校庭に遊具も設置
校庭に遊具も設置

本格的な冬が来る前に壁の建設が完成できるよう安全に注意を払いながら進めました。
また、2月1日に開催された引き渡しのセレモニーには、生徒、先生や地域の長老が参加して行われました。
モニタリングの際[3]に、学校に通うのを止めてしまった友達も戻ってくるかもしれないと話す生徒や、将来スポーツ選手を夢見る他の生徒は、以前は休み時間に外に出て運動することが出来なかったけれど、毎日休み時間になるのを楽しみしていると話してくれました。

引渡時の様子
引渡時の様子

校庭に遊具も設置
長老が図書館の完成を見ている様子

参照:
[1]UNDP FATA Transition and Recovery Programme Result Report (2015-2016)
[2]World Bank Group,2018 Missed Opportunities : The High Cost of Not Educating Girls
[3] パキスタンにおいては、学校の外壁の高さは、就学率に関係する。パルダ(女性が男性の視線にさらされることから守る風習や制度:ヴェールなどもその風習の1つ)という文化を持つ女子生徒たちにとって、その壁の低さは、大きな問題となる。外から学校内部が見えるということが、女子生徒本人や思春期の娘を持つ親たちや先生に不安や不快な思いを抱えさせ、それが理由で登校できない生徒もいる。