ハイチ

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2010年1月13日6時53分(日本時間)、ハイチの首都ポルトープランスの南西約15㎞を震源にマグニチュード7.0(米地質調査所)の大地震が発生しました。死者が30万人以上と推定されるなど、2004年末に発生したスマトラ島沖地震に匹敵する大規模な被害をハイチに与えました。JENは、震源地に近く被害が甚大であったにも関わらず、首都から離れているために支援が届いていなかったグアンゴアーブ地区で、緊急支援物資配布を行いました。その後、コレラなど水因性の感染症拡大予防のために、水衛生環境の改善をサポートしました。人びとが自分たちの力で健康的な暮らしを営むための様な努力は、身近な衛生環境の改善に直結し、コミュニティの活性化につながります。JENは、衛生環境を整える活動を通して、ハイチの人びとの自立した生活の実現を支えました。

 

安全な水は、自分たちで手に入れる(公共の給水施設設置) 2013年~2015年

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ハイチでは、壊れてしまった給水施設は放置されてしまうことが多くあります。そのため、地域住民がいつでも安全な水にアクセスできるように、地域住民自らが公共の給水施設を長期的に維持管理できる体制の構築に努めました。

JENが事業を行っていた6 つのコミュニティでは、キオスク型給水施設16棟の建設と1棟の修復、貯水槽4棟の建設と2棟の修復を行いました。また、その中の2つのコミュニティでは、住民自身で維持管理を行うことが困難な構造だったため、壊れている施設を含め、蛇口式の給水施設9棟をキオスク型給水施設10棟に改設し、住民が維持管理できる構造にしました。

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キオスク型給水施設は、蛇口が3〜4つ外についている箱形の建物で、キオスク内の管理人が水の供給を管理します。住民は外の蛇口で水を汲み、バケツ毎の料金を支払うシステムです。

また、住民が給水施設の維持管理を持続的に行えるよう、水管理委員会を結成しました。選挙で選出された水管理委員会メンバーは住民総会で紹介され、水利用料徴収を含め様々な規定を作成しました。地域住民によるこうした施設の維持管理が長期的に行なえるよう、負担にならない範囲で住民から安全な水の利用料を徴収し、維持管理費用に充てました。

知識だけでない、衛生習慣の実行を目指して(感染症の予防研修) 2013年~2015年

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地域住民が適切な衛生知識を得ても行動に結びつかない場合が多いことを確認しました。知識が根付くように、衛生知識を継続して伝達しました。住民から衛生促進を行なうボランティアを募り、各人の知識レベルに応じたトレーニングを行なうことで衛生知識が向上しました。

住民に対しては、トレーニングを受けた衛生促進ボランティアが中心となって戸別訪問やキャンペーンを行ない、衛生知識や習慣の改善を行ないました。衛生促進活動は、事前調査結果より、住民の手洗いや水因性疾患予防に重点を置いて実施しました。

井戸の修理、設置を通して、安全な水へアクセスできる環境を作りました(2010年6月~2013年)

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ハイチが復興を遂げるためには、衛生環境をはじめ、様々な分野で改善をしていかなければなりませんが、その意識を持つ人は、まだ多くはありません。長年に渡る支援が現地の人びとの依存感覚を高めてしまい、自分たちの力で問題を解決する意識が低くなっているのです。そこで、JENは緊急支援終了後、安全な飲料水へのアクセスが限られたレオガンおよびグランゴアーブの農村部において、使用不可能な80箇所の給水施設の補修工事を行いました。それまで、この地域では、井戸ができる前まで、人びとは、洗濯も飲み水も、同じ場所の水を使っていました。川の近くに穴を掘り、その 水を一度捨てて、再び湧いてくる水は綺麗だ、と考える人もいたほどです。洗濯場は、汚い水たまりができて、蚊が発生して不衛生な状態でした。

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そこで、グランゴアーブとレオガンの105の村で、各村それぞれ5名のメンバーからなる井戸管理委員会を設立しました。彼らは、給水施設やその周辺を清潔に保つために、毎日掃除をすることから始めました。それと同時に、各村4〜10名ずつの住民が、衛生促進員としてワークショップに参加し、正しい衛生知識を学びました。総勢459名の衛生促進員たちは、村の中央に手洗い場を設置し、石鹸で手を洗うよう呼びかけたり、家を一軒一軒訪問してコレラを予防する方法を教えたり、正しい衛生行動をカード形式のクイズにして伝えたり、衛生キャンペーンを行いました。

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支援の効果をさらに継続させるために、新たな10村で、新しい水管理委員会が発足しました。井戸を清潔に保つ、という今までの活動に加えて、管理・運営をしていきます。具体的には、井戸が故障した時に新しい部品を購入するための資金を、その井戸を使う住民たちから利用料として徴収する仕組みを作ります。井戸ができる前まで、住民たちは、自然の川の水を利用していました。それまで無料で際限なく使っていたものに対してお金を払う、この仕組みを実現させるためには、水管理委員会の役割と井戸を利用できることの大切さを、住民たちに理解してもらうことが重要です。

緊急支援物資配布(2010年2月~5月)

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グランゴアーブコミューンに加え、さらに支援が必要であると判断された隣のレオガンコミューンにおいて、4000世帯を対象に緊急シェルターキットを配布しました。初回の配布(トタン板、ハンマー、釘、のこぎり、軍手)に、ニーズの高い木材を追加し配布することによって、被災者が自分たちの手で、自分たちの生活環境を改善しました。

緊急支援物資配布(2010年1月~2月)

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JENは、地震直後の2010年1月16日に緊急支援の経験が豊富でフランス語に堪能な国際スタッフ3名を、27日にさらに1名を現地に送り、初動調査とともに緊急支援を開始しました。

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震源地に近く被害が甚大であったにも関わらず、首都から離れているために支援が届いていないグランゴアーブコミューン(首都ポルトープランスから西へ約50キロ)にある7キャンプ700世帯に対し、緊急シェルターキット(トタン板、ハンマー、釘、のこぎり、軍手)を配布しました。

ハイチの基本情報

国名 ハイチ共和国( Republic of Haiti )
首都 ポルトープランス
人口 1,071万人(2015年:世界銀行)
面積 2万7,750km2
人種・民族 アフリカ系(90%)ほか、多民族
言語 フランス語、クレオール語(共に公用語)
宗教 キリスト教(カトリック、プロテスタント等)、ブードゥー教等

出典:外務省ホームページ(2016年7月現在)