ヨルダン

ヨルダン

シリア周辺国の一つであるヨルダンは、多くのシリア難民の避難先となっています。JENはイラク事業の拠点として2003年よりヨルダンの首都アンマンに事務所を構えており、シリアから難民が流出し始めた2011年当初から状況を注視していました。2012年7月、ヨルダン・シリア国境近くにザータリ難民キャンプが開設されたのを受け、JENは、キャンプとホストコミュニティ(難民キャンプ以外の現地難民受け入れコミュニティ)において、シリアから避難してきた人びとへの緊急支援を開始しました。

ピーク時には13万人もの難民が暮らしたザータリ難民キャンプでは、水衛生環境の整備を担当する統括団体のひとつとして、給水や上下水道の整備から、コミュニティ強化までを担いました(2018年3月末終了)。一方、難民の80%近くが暮らすホストコミュニティでは、シリア人児童を受け入れることにより公立学校の生徒数が急増し、教室の不足や、施設の酷使による学習環境の悪化が問題となっています。この緊急事態に対応するため、公立学校の水衛生施設の建設・修復などのインフラ整備と衛生促進活動を行っています。

2016年度の分野別実績
シリア難民キャンプ内での水衛生環境改善 52,585人
シリア難民キャンプでのメディア制作を通じた若者のエンパワーメント 7,150人
ヨルダン6県での公立学校56校での水衛生環境改善 46,340人

シリア情勢の悪化と周辺国への難民流出

シリア情勢の悪化と周辺国への難民流出

2010年12月18日に始まったチュニジアでの民衆蜂起の影響を受ける形で、シリアにおいても2011年3月より南部、ダラア市にて暴動が始まり、武装闘争へと発展しました。闘争の激化に伴い、一般市民の生活は脅かされ、国内避難民および国外へ避難する難民の数が日ごとに増加する状況が何か月も続きました。

シリア情勢の悪化と周辺国への難民流出

2017年末時点でのシリア国外避難民数は約550万人、1月末の国内避難民数は約630万人と、支援を必要とする人の数は約1,300万人にも及んでいます。主要難民受け入れ国の一つ、ヨルダンでは約65万人のシリア難民を抱えており、その数はヨルダンの人口の約10%に相当します。*

*出典:Jordan INGO Foram Syrian refugees in Jordan 2017年12月末時点
https://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/JIF-ProtectionBrief-2017-Final.pdf

水衛生設備の建設および学校建設の補修(ホストコミュニティ)

水衛生設備の建設および学校建設の補修(ホストコミュニティ)

シリア危機の影響を受けて、ヨルダン国内には難民キャンプの外にも多くのシリア難民が流入しました。ホストコミュニティに住む知人や親せきを頼って避難している人は、ヨルダンに避難する全難民の約8割にのぼります。シリア難民の子どもたちがヨルダン国内の公立学校に通うようになった結果、生徒数が急増し、教室やトイレ数が不足し、過去2年で197校が2交替制を敷く深刻な事態に陥っています。

水衛生設備の建設および学校建設の補修(ホストコミュニティ)

JENは、2012年10月のホストコミュニティのシリア難民に対する支援開始時から現在まで、多くのシリア難民の生徒を受け入れているヨルダンの全12県の公立学校を対象に、トイレや手洗い場などの水衛生施設の増築と児童数の増加によって酷使された既存施設の補修を行っています。不衛生な学校のトイレは、特に女子児童の不登校や早退を引き起こしています。学校のトイレの衛生環境を整えることで、子どもたちが安心して通学し、学習に取り組むことができるよう支援を進めています。

また、ヨルダンの水事情を鑑み、学校で子どもたちが手を洗った排水を再利用する仕組み作りにも取り組んでいます。

 

ホストコミュ二ティでの活動について、詳しくはこちらから (フェイスブック/英語またはアラビア語のみ)。

衛生教育(ホストコミュニティ)

衛生教育(ホストコミュニティー)

水衛生施設の整備と同時に、正しい衛生習慣を身につけることも大切です。公立学校における水衛生設備の不足や疲弊等により就学する子どもたちの水因性疾患による健康被害が懸念されるため、疾病予防のための石鹸を使った手洗いや、基礎的な口腔衛生,食品衛生、学校環境衛生の意識向上・生活習慣の改善に重点を置いて衛生教育を実施しています。

JENでは、まず教師に対して衛生教育を行い、彼らが生徒に衛生指導をし、生徒は衛生促進のためにクラブを作って教員と共に全校生徒に促進活動を続けることで、学校全体、ひいてはコミュニティ全体への衛生知識・衛生習慣の普及を目指しています。また生徒たちに石鹸、歯ブラシ、歯磨き粉、ハンドタオル等の衛生キットを配布し、家庭と学校で石鹸を使った手洗いや歯磨き等を実践してもらっています。

さらに、水衛生施設の正しい使い方と清潔に保つ維持管理方法、また水保全についても指導を行っています。

ヨルダン国教育省および国連の水・教育支援分野へのサポート (ホストコミュニティ)

ヨルダン国教育省および国連の水・教育支援分野へのサポート (ホストコミュニティ)

ヨルダン国内には、約3,681校の公立校があります。水・衛生の支援を必要とする学校は半数以上に上り、JENは2012年10月の支援開始から400校以上に対して支援を実施してきました。

水衛生に関しての全国ニーズ調査をユニセフと実施し、ユネスコとユニセフと共同でそのデータを教育省のデータベースに統合して支援に活用するシステムを構築しています。